怠惰な休日を送らない鍵は朝からでかけること、ということで、朝からふらふら 銀座に映画を観に行ったTFJです。平日の午前に映画を観るもの好きも少ないだろう と思いきや意外に混雑していたのは、夏休みだからか。 最近、あまり映画の話を振っていない気がするので、軽く振ろう。 ・ ・ ・ 「猫が行方不明」 (フランス映画社BOWシリーズ, '96) "Chacun Cherche Son Chat" - France, 1996, Colour, 95min - Directed by Cedric Klapisch - Garance Clavel (Chloe), Olivier Py (Michel), Zinedine Soualem (Djamel), etc Franceの女性監督の撮ったParisを舞台にしたたわいのないコメディで、これを題材に 恋愛論をぶちまけて欲しいとは思わないし、「邦題はだいなし」と騒ぐこともないと 思うが。ちなみに、原題は「誰もが自分の猫を探している」という意味。主人公の 女性Chloeの飼い猫グリグリが行方不明になった約2週間の騒動を捉えたものなのだが。 しかし、とても面白かった。一つには、様々な人種、世代、階級、職業の人が住む Parisの様子が騒動を通して描かれていることがあるかもしれない。使われている 音楽もindependentとかalternativと言われるrockあり、raiもあり、街角では 狂騒的なブラスバンドがいるわ、zoukで踊るFrench Caribeanのカップルも出てくる。 Chloeがひっかかるロンゲなナンパ男はtechnoのレコードを見ていて、最高にいい 曲としてjungleをかける。エンディングはtrip-hopだ。もちろん、カフェで皆が歌う chanconもある。そういういろいろな音楽を聴いているだけで楽しくなってしまう。 と、ある意味でParisの風俗映画なのだろうが、しかし僕がこの映画を観て思い出した のは10年近く前に観た「スイート・スイート・ビレッジ」("Vesnicko Ma Strediskova" directed by Jiri Menzel ('85))という、Czechslovakiaのコメディ映画だった。この 社会主義崩壊前のCzechの農村を舞台としたコメディと、今のParisを舞台にしたこの 映画の感触が似ているなあ、と自分で思って意外だった。実際、話が似ているわけ でもない。それは、この映画のOtikという登場人物と"Chacun Cherche Son Chat"での Djamelが、似ていたからに過ぎないかもしれない。パリを冷徹な都市というより 人情味溢れる街という感じで描いているということがあるかもしれない。単に ほのぼのとしたコメディなんてめったに観ないので、それくらいしか連想する映画が 無かっただけかもしれないが。どちらもとても楽しめたということは共通することだが。 ・ ・ ・ 映画を観た後、銀座から表参道へと画廊めぐりをしたが、お盆明けはだめだ。結局、 買ったばかりのエリック・ロメール「六つの本心の話」(早川書房)をカフェで読んで ました。"エスクワイア日本版"で「モンソーのパン屋の女の子」は読んでいたけど。 やっぱりいいね。どこかで、この映画をまとめて上映してくれないかな。 96/8/20