別に映画好きというわけではないTFJです。まあ、書く時間があるときに映画の話を。 ・ ・ ・ 先月から、六本木シネ・ヴィヴァンで「アントワーヌ・ドワネルの冒険」と題して Francois Truffautの特集をしている。Jean-Pierre Leaudファンなら全部観に行く べきなのだったろうが、最初のを観て気が失せてしまった。最初は2編併映だったが、 その一編がこれだった。 「夜霧の恋人たち」 (Les Films du Carrosse / Les Productions Artistes Associes, '68) "Baisers Voles" - France, 1968, colour, - directed by Francois Truffaut - Jean-Pierre Leaud (Antoine Doinel), Claude Jade (Christine Darbon), Delphine Seyrig (Fabienne Tabard), etc 8年前だったら一番好きな女優として迷わずDelphine Seyrigを挙げていたであろう 僕としては、それなりに思い入れのある映画だ。話に「リアリティ」が無いのも 好きだが、それは今はおいておこう。 Delphine Seyrigを僕が初めて観たのは「去年マリエンバードで」("Annee Derniere A Marienbad, L'" directed by Alain Resnais ('61))でだった。Channelの服に身を 包んだ謎の女性という感じで、可愛いとか若い色気とは無縁の−おばさんぽくすら ある−、不思議な魅力に惹かれてしまった。Antoine Doinelの言葉を借りれば、 まさに「幻の女」。やはり主演している「ミリュエル」("Muriel Ou Le Temps D'Un Retour" directed by Alain Resnais ('63))は僕が今まで観た映画の中では五指に 残る名作だと思っているが、決して彼女が魅力的な役をしているわけではない。 久しぶりにこの映画と「インディア・ソング」の予告でDelphine Seyrigの姿を観て、 やっぱりいいな、とは思うが、そんなにいいか、とも思ってしまった。僕も変わった ものだ。そう、今、 「インディア・ソング」 "India Song" ('74 / Cable Hogue, '96) - France, 1975, colour, 119 - Directed by Margruerite Duras - Delphine Seyrig, Michael Lonsdale, Mathieu Carrier, Claude Mann, etc がレイトショーで上映中。Delphine Seyrigの「幻の女」的魅力を観るにはいい映画 かもしれない。 僕はといえば、10年ほど前にアネテフランセ文化センター会員時代に、そこで 英字幕でこの映画を観たのだが、映像とナレーションだけで台詞の無い映画で、 あまり動きのない画面と"India Song"のテーマ曲ばかりが印象に残っている。 "India Song"といえば、Various Artists "The Fruit Of The Original Sin" (Crepuscule, TWI035, '81, 2LP)のC面に収録されたDurasのインタヴューの後に クレジットは無いが、その曲と英語での朗読が収録されている。朗読が臭いが。 ピアノはVirginia Ashtray、朗読はRichard Jobsonなのだろうか。 やはりこの界隈の人脈なのだが、Delphine Seyrigの朗読を聴くことができる作品と して、Steven Brown & Delphine Sayrig "De Doute Et De Grace" (Made To Measure, MTM22, '90, CD)という作品がある。彼女の死の後に追悼するかのように出た作品だ。 フランス語なので内容は判りかねるが、静かな背景に落ち着いた彼女の声が魅力的な 一枚だ。 ・ ・ ・ "India Song"は新プリントということもあるので、今観るとまた違うかもしれ ないとも思っているが。どうも腰がひけている。どうしよう。独りで観に行きたく ないという人がいたら、まあ声でもかけて下さい。 あと、面白い映画を観たら、ぜひ紹介して下さい。 B.G.M.: Steven Brown & Delphine Seyrig "De Doute Et De Grace" "India Song" (from "The Fruit Of The Original Sin") 96/8/20 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕