Vladimir Mayakovskiは僕にとってのヒーロー、なTFJです。 チェコ・アヴァンギャルド・ブック・デザイン 1920s-'30s Czech Avant-Garde Book Design 1920s-'30s Ginza Graphic Gallery 96/10/4-26 1918年のチェコスロヴァキア (Czechslovakia) 共和国独立から1939年のHitlerの プラハ (Praha) 占領までの間、プラハを中心として活動したチェコ・アヴァン ギャルド (Czech avant-garde) 運動のうち、本のデザインに焦点を当てた展覧会が 銀座で開催されている。Karel Teigeらの'23年の宣言"Poetism"から、Poetismと 呼ばれることが多いのだが。 この展覧会で展示されている中心人物Karel Teigeが20年代に編集刊行していた 雑誌"ReD"のデザインを見ると、同時期のハンガリー構成主義のLajos Kasasakの 雑誌"MA"や、ロシア・アヴァンギャルドのMayakovski & Rodchenkoの雑誌"LEF"と、 明らかに共通点がある。それは、構成主義的な平面分割、タイポグラフィ、フォト コラージュの使用だけではない。左翼主義、社会主義的な題材が多く使われている こともある。明らかというほどでなないがBauhausやDe Stijlとの類似もあるし、 30年代になるとシュルレアリズム (Surrealism) の影響濃いデザインも増える。 決して孤立した芸術運動ではない。独自性を見出し難いという点では、少々辛い 所もあるかもしれないが。 僕がこのようなデザインに惹かれるのは、単にまだ社会主義に夢があった頃があった ということ対するばくぜんとした感慨からではない。ワイマール共和国の社会民主 主義体制、ソヴィエト政府下の新経済政策といった、当時の大胆な社会実験から 生まれた/を生んだ活力を、そういったデザインから見出すことができるからだ。 社会変革運動としての芸術というのはDadaの時点で幻想だと判明していたけれども、 それでも芸術が興味深いものであるためには社会的でなければならない、とでも いう気概を、僕はこういったデザインに見出している。その時代にその場に生きて いないために美化しているかもしれないが、芸術と社会の間のある種の理想的な 関係がそこにあったように、ときどき僕は思う。 結局、それらの運動は、西/右のNazisによって退廃とされ、東/左ではStalin体制下 社会主義リアリズムが唯一のスタイルとされることにより、二次大戦に向かう中で 抹殺されたのだが。今、こうしてこういった作品が観られるのも、戦後冷戦終結〜 東欧社会主義体制のおかげなのだろう。 観ていて笑ったのが、「教養のある女性」という本の表紙。女性の三つ編にした 長く伸ばした髪に鋏を入れようとしている写真と、「教養のある女性」という組み 合わせが、時代を感じさせるか。 "ハンガリー構成主義 (Hungarian Constructivism) 1918-1936"@ワタリアム ('94)、 "バウハウス (Bauhaus) 芸術教育の革命と実験"@川崎市民ミュージアム ('94)、 "ロドチェンコ (Rodchenko) の実験室"@ワタリアム美術館 ('96) といった展覧会を 楽しんだ人には、是非ともお薦めしたい。 ・ ・ ・ この展覧会を開催しているgggことGinza Graphic Galleryは、86年にオープンした 書籍・ポスターデザインをよく展示しているギャラリー。このgggや同じく銀座の Plus Minus Galleryといったギャラリーがオープンしてまもない86年に、僕は ちょうど大学に進学した。そして、まだギャラリーに入ったことの無かった当時の 僕が初めて巡ったギャラリーが、企業のショールーム/イベントスペース的な面も あり敷居が低かったこの2つの新しいギャラリーだった。もちろん、自分の興味に 合致する展示をやっていたことや、目新しさもあったのだが。 そういう意味で思い入れのあるギャラリーなのだが、そのもう一つのギャラリーで あるPlus Minus Galleryが移転した。あれから十年、感慨深いものがある。という ことは、僕が「日本の鱒釣り Trout Fishing in Japan」になって十年か(遠い目)。 96/10/13 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕