土曜は午前中に某MM誌に依頼された原稿の資料を受け取りに神保町の編集室に 行ってきたTFJです。ついでに同じビルの1Fにある北沢書店に寄って、以前に 注文した本が届いていないか、尋ねてみた。 Simon Frith "Performing Rites - On The Value Of Popular Music" (Harvard Univ. Press, ISBN 0-674-66195-8, '96) 丁度、金曜に届いたばかりだったとか。これで、年末年始休暇中に読めるぞ。 いきなり第一節が"The Value Problem in Cultural Studies"かぁ、などと、 ぱらぱらめくっていたら、最近気にしているPierre Bourdieuへの言及も多くて、 ますます気になる。この本での言及もやはり"Distinction"か…。立読の限り では『芸術の規則』が面白そうなんだが。 と、欲しかった本が手に入ってごっきげんな気分で、小春日和の中、竹橋まで てくてく散歩気分で足を伸ばした。 _ _ _ Project For Survival 国立近代美術館, 千代田区北の丸公園 (竹橋) 96/12/3-97/1/12, 10:00-17:00, 月休 (23日を除く) 96/12/24,28-97/1/6休 - Lothar Baumgarten, Marcel Broodthaers, Dan Graham, Anselm Kiefer, 宮島 達男, Krzysztof Wodiczko, Museum fuer Moderne Kunst Frankfurt am Main 「1970年以降の現代美術再訪」というが、こういうものはプロジェクト的な 作品は再訪しても仕方ないな、と思ってしまった。 例えば、公共的な建築物に映像を投影するプロジェクトで知られるKrzysztof Wodiczkoであれば、"Poliscar"の図面・写真や実物をショールームの車のように 展示されても、しょうもないなと思ってしまう。せっかく、目の前に公共的な 建築物「皇居」があるのだから、そこにWodiczko流の皮肉の効いた映像を投影 したものを観てみたいと、僕は思う。 宮島 達男は「柿の木プロジェクト」だったらいやだな、と思っていたが、幸い 「カウンター・ヴォイス − 那智の滝より」。ヴィデオで観てもそこそこ面白い けど。これも、沢山の人を募って広場に机と洗面器並べて皆で「カウンター・ ヴォイス・イン・ザ・ウォーター」するとか、そういう企画に参加みたいし、 自分でもやってこそ面白いもののように思う。 フランクフルト近代美術館 (Museum fuer Moderne Kunst Frankfurt am Main) の Benettonの広告に関する議論については、以前から興味があったので、いくつか の壁に掲げられた文章は興味深く読んだ。確かに、United Colours Of Benettonの ビルボードをこうして観るのもいいのだが。やはり、美術館で観るというより、 ドキュメンタリー本のような形で − 誰か書いていないのだろうか − 読むもの のように思う。Benettonのポスターが掲げられた読書室で、そのドキュメンタリー を読んでみたい。 Dan Grahamも、"Rock My Religion" (MIT Press, ISBN0-262-07147-9, '94)を 面白く読んでいただけに。作品より評論の方が面白いんじゃ…。 などなど…、基本的にこういうコンセプチャルなプロジェクトは好きなので、 こうして文句をつけることで結局楽しんでいる、というのはあるのだが。これで いいのか…。 _ _ _ と、いい天気だったので銀座まで散歩して遅めの昼食をとった後、ギャラリー 青羅の「ダイエットする芸術」を覗いてみた。草間 彌生の「かぼちゃ」の腕時計 は確かに中では一番良い出来。あれで8,000円なら欲しかった…。 銀座のSwatch Shopも覗いたついでにgggのAlain Le Quernec展へ行ったら、 意外にもなかなか面白い展示だった。今日観た中でこれが一番面白かったのは 納得いかないが。 日が暮れた銀座からさらに表参道に行って、今、イルミネーションをやっている ということを知った。うう。ひどい人ごみにうんざりしたので、早々に渋谷に 流れて音盤買い漁って、いつものいきつけのジャズ喫茶に避難。今日のB.G.M.は 買ったばかりのrai (Algeriaのポップ) の帝王の期待の新譜 Khaled "Sahra" (Barclay, '96)。マスターが「パリの場末の酒屋でかかってそうな音楽」だと 気に入ってくれて、全部かけてくれた。いいなー。ちなみに、最近この店でよく かかるdrum'n'bassはBen Neill "Triptycal" (Antilles, '96)。これも気にいった ようなので、次はDerek Baileyのdrum'n'bassか、Squarepusherか…。 96/12/14 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕