土曜17時頃に家に帰り着いてメールをチェックしたらまだ間に合うことが判って、 世田谷美術館に向かったTFJです。途中の渋谷駅の乗り換え時にTな人に遭遇して 驚いたが。で、17時終了予定の講演会に18時過ぎに入場してしまった。 (良い子は あまり真似をしてはいけません。) ろくに話は聞かれなかったが。というわけで、 欠席表明していた水戸芸術館現代美術ファンMLのオフミに飛び入りしてしまった。 駆けつけた甲斐があった。自転車乗りな姿を期待されていたとは予期しななったが。 日曜の朝10時半からゲリラ的なパフォーマンスがあるらしいという噂を耳にしたので、 日曜は10時前に家を出て世田谷美術館まで自転車でひとっ走り。天気がいいので、 汗ばむくらいだ。10時半に会場に飛び込んだ。 _ _ _ デ・ジェンダリズム 〜回帰する身体〜 De-Genderism - Detruire Dit-Elle/Il 世田谷美術館, 世田谷区砧公園1-2 (用賀) 97/2/8-3/23, 10:00-18:00 (土 -20:00), 第二,四月休 - Vito Acconci, Matthew Barney, Eva Hesse, 草間 弥生, Janine Antoni, Mona Hatoum, Marina Abramovic, Marie-Ange Guilleminot, 加藤 豪, 西山 美なコ, 馬 六明, Rebecca Horn, Robert Gober, 八谷 和彦, 金 守子 結局、ゲリラ・パフォーマンスらしきものには遭遇せず。まさか検閲されたか!? 代わりにNHK日曜美術館の取材陣に遭遇してしまった。この日はパフォーマンスが あることもあり再入場可だったので、軽く流して (といっても1時間余りかかったが)、 八谷の「ひかりのからだ」の体験の予約をして、帰った。 汗を落として、着替えて、昼食食べて、図書館に行って、(ああ、慌ただしい。) 再び電車で世田谷美術館へ。 八谷 和彦 「ひかりのからだ - Vanishing Body」 世田谷美術館, 世田谷区砧公園1-2 (用賀) 97/2/8-3/23, 10:00-18:00 (土 -20:00), 第二,四月休 一人20分の個別体験型の作品なので予約が必要だが、ほとんど待ち行列はなかった。 (会期末は混むかもしれないが。) 鑑賞する際に全裸になるかならないか選択でき、 全裸になることを選択した場合は赤外線カメラのグローヴを貸してもらえる。 もちろん僕は全裸を選択。真っ暗な部屋へ踏み込んだ。最初の部屋の壁をカメラで 見ると、裸の体の写真が9枚見えた。さらに奥の部屋に踏み込むと、... が、何も 起きなかった。少なくとも何か起きた気配はなかった。 配布された資料によると「お二人でいらしている場合は、2つの部屋を同時にお使いに なることをおすすめします。」とのことなので、二人で体験すると何かが起きるの かもしれない。というわけで、僕と一緒に体験してくれる人を急募します!!!! 興味がある人は連絡を下さい。 _ _ _ 続いて、Marina Abramovic のパフォーマンスへ。 Marina Abramovic "Cleaning The House" 世田谷美術館 講堂, 世田谷区砧公園1-2 (用賀) 97/2/9, 15:00-18:00 15時開場と同時に中に入ると、既にパフォーマンスは始っていた。中は異様な臭気だ。 赤い照明で浮かびあがったステージの上で椅子に座り、骨 (おそらく牛の大腿骨) を たわしで磨いている。彼女の両脇にブリキのバケツが2つ。左のバケツのタワシを洗い、 右のバケツで頭や顔をぬぐう。舞台の上は、血肉にまみれた骨が一面びっしりある。 後ろの白い壁にも血らしき跡がある。彼女の白い服もびしょ濡れで、血が染みている。 臭気は死臭・腐臭というものとはちょっと違うものだと思うので、何かで処理した 薬品の臭いだろうか。塩素臭ぽくもあったが。 骨は、ある程度磨き終えると頭上に掲げ、舞台と客席のスペースに投げ出される。 そして、舞台上の骨を拾い、再び磨き出す。投げ出された骨に触ってみたが、 こびり着いた肉様のものは確かにそれらしき感触で、本物のようだった。 このパフォーマンスで一番印象的だったのは、彼女が磨きながらあげるうめき声。 それは音楽的ですらある。実際、まるでヴァイオリンを演奏するような姿勢で磨くとき もあった。これが単調になりそうなパフォーマンスを観られるものにしていたと思う。 が、ずっとこれを続けるのだろうという展開が見えてきたところで、外へ出た。 実際3時間ずっとかしこまって観ているようなものではないだろう。その後、何回か 出入りして、最後にどう終えるのかという興味で18時10分前頃に開場へ。暫く観て いると係の人が「会場の人が全員出た時点でパフォーマンスは終了になります。」と。 というわけで、起承転結を極力排したパフォーマンスだった。 時間の割に短く感じられたパフォーマンスだったが、起承転結が無いという意味で、 「最初から最後まで見続ける」類のものではないだろう。講堂のような所ではなく、 もっと「通りすがりにみかける」ことのできるような場所のほうが良かったような 気もする。 _ _ _ Marie-Ange Guilleminot 世田谷美術館前, 世田谷区砧公園1-2 (用賀) 97/2/9-3/23, 毎日曜 15:00-16:00 美術館前の一本の植木の周りに16枚の木のパネルで囲いをした作品。1枚おきに穴が 開いており、日曜の15:00〜16:00にその穴に足や手を入れると、マッサージをして もらえる。どういう人がしてくれているのかは見ることはできない。 午前中に自転車に乗った疲れもあったので、迷わず足をマッサージしてもらった。 意外に巧く、軽くはった足の筋がほぐれていくのがとても気持ちよかった。 係の人に「とても気持ちよさそうな顔をしてましたねー。」と言われてしまった くらいに気持ち良かった。ということで、砧公園を軽くランニングとかした後に マッサージしてもらうと、気持ち良さが倍増するかもしれない。 _ _ _ 展示の中で印象に残ったのは、Janine Antoni。染髪料を絵の具代わりに、自分の 頭髪を筆にして抽象表現主義のようなものを床に描いた "Loving Care" の制作風景の ヴィデオは、会場の作品と併せて是非生で観たいと思わせるものがあった。カタログの "Batterfly Kiss" も観てみたい。"Lick and Lather" のチョコレートと石鹸の胸像も 印象的だった。 Matthew Barney や 草間 弥生 は予想通りだったが良かっし、Mona Hatoum の居心地 悪さも格別だった。と、1階は印象に残っているのだが、2階の作品はいまいちピンと こなかった。緊張がもたなかったとは思いたくないが。 観に行く前から思っていたのだが、この展覧会で扱っているのはやはり gender では なく sexuality なのだと思うし、gerder ではなく sexuality を扱えば − 身体に 回帰すれば − gender にまつわる主義を脱構築したことになるという問題でもない と思う。というわけで、どうして gender という言葉をここで持ち出したのか、 展示を観ても結局わからなかった。 それに、性別というイデオロギーを扱うのにどうしてこんなにまだるっこしいことを しているのだろう、と思うところもある。このテーマなら、僕にとっては、例えば Billy Bragg の歌の "Greetings To The New Brunette" の数分間のほうが、はるかに ぐっとくる。もしくは "Sexuality" か。そう、去年の gender や sexuality を 扱った展覧会で、この作品ならこの歌だ、と観ながら思ったように。 といっても、去年の gender や sexuality がらみの2つの展覧会よりも楽しめたと いうのはある。パフォーマンス、ハプニングともいえる作品が多いからかもしれない。 _ _ _ Marie-Ange Guilleminot の所で足をマッサージしてもらった後に、金 守子のチマ チョゴリのような派手な生地を使ったカフェでひといきしようとしたら、土曜に会った 水戸芸術館現代美術ファンMLの一人とまた会ってしまった。午前中なら自転車乗りな 服装だったのに! 午後は土曜同様の黒のトレンチコートにグレーのソフト帽だった。 他に来ると言っていた人とは会えなかった。あのパフォーマンスの情況で面識がない のに会えるはずがない、という話もあるが。 97/2/9 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕