というわけで、天気のはっきりしない朝、傘を持っていった TFJ です。 オープニング・レセプションは断念したのだが。最近の原美術館は混雑するので、 初日朝一番に挑戦することにした。例によって、誰か一緒に行かないか、と声を かけていたら、Kさんが応じてくださりました。朝早くからありがとうございました。 _ _ _ 「ドイツビデオアートの30年」 "Video-Skulotur in Deutschland seit 1963" 原美術館, 品川区北品川 4-7-25 (品川) 97/3/15-5/18 (月火休,4/29+5/5開), 11:00-20:00 (土日祝 11:00-17:00) - Anna Anders, Claus Boehmler, Birgit Brenner, Klaus vom Bruch, Ingo Guenther, Jean-Francois Guiton, Wolf Kahlen, Franziska Megert, Marcel Odenbach, Nam June Paik, Ulrike Rosenbach, Reiner Ruthenbach, Jeffrey Shaw, Wolfgang Staehle, Wolf Vostell, Herbert Wentscher ドイツ対外文化交流研究所の組織の巡回展の日本での展覧会。ドイツの作家に 限ったものでもないが。あと原題のように、映し出される映像だけで勝負するの ではなく、ビデオモニターを用いたオブジェやインスタレーション、個別体験型 展示、もしくはビデオをモチーフに用いた平面作品といったものからなる展覧会だ。 正直なところ、通して観るとそれほど面白いとは思わなかったが。印象に残った 作品を軽く挙げていくと。 ギロチンで処刑されるような気分で台に仰向けになって観賞する Ingo Guenther "Ohne Titel (Schafott)"「処刑台」の断片的な映像と音声が印象的。 風車に向かってビデオ映像でたちむかう Jean-Francois Guiten の作品は、けど、 TVは Don Quexote というにはあまりに…というのは逆の意味で皮肉かな。 Anna Anders の監視員は、やはり、ギャラリーの監視員の立っていそうな所に 置いて欲しい。Franziska Megert は女性の美しさを扱ったいかにもなわかりやすい 作品だが目を惹いていい。Reiner Ruthenback のスタンド付きの黒い板を街中に 置く作品は、ズームアップしたビデオ映像では画像処理で消してるかのように 見えるのが面白い。作家名は忘れたのだけど、口紅を塗る女性とのTV電話は、 言葉がわかれば面白そうな気もするのだが。Jeffrey Show の「王道」は、王道を 歩むとその位置によって映像が動くもので、仕組みは面白いけれども、で、それで? という感もあった。 と、挙げはじめたら長くなってしまったが。ちなみに、Cafe d'Art の企画ケーキは、 フルーツ入りなのかシロップなのか、ちょっと酸味の効いた、しっとりとした チョコレートケーキ。ココアパウダーで、モニター画面のような模様をあしらって いるけれど、ちょっと地味か。 _ _ _ と、Cafe d'Art でひとしきり K さんと、現代美術などなどの話をしました。 普段は一人で効率優先でさくさくと観て完結していることが多いのですが、 ゆっくりと人と話するのは楽しいものです。 で、さらに銀座に出て、資生堂ギャラリーで亜細亜散歩二 Part 3 を。開放感。 これで、全部観られた。いいシリーズでしたね。 ここで K さんと別れて表参道へお店のチェック。 まずは、新たに開店したアート・グッズの店 Nadiffへ。場所は Royal Host の 近くのビルの地下。池袋 Art Vivant の元スタッフが作ったという噂だったが、 独立したのではなく、もろに Art Vivant な店でした。池袋 Art Vivant や渋谷 Quattro WAVE 3F の一角を、表参道へリストラしたということか。店は広々して いて Cafe Crepuscule なんていうカフェも併設しているが、品揃えはいかにも Art Vivant で新鮮味なし。 続いて Dub House へ。そうですが、あの人が噂の売り子さんですね。ふむふむ。 荷物を預けるときや、レコードを買うときに、妙に意識してしまっていけません。 じゃなくて、品揃えはダンス系アナログ中心でけっこういい。画廊めぐりついでに 寄られる場所が嬉しい。 結局 Nadiff と Dub House でけっこう長居してしまったので、キリン・アート・ スペースはパスして恵比寿ガーデンシネマへ。もちろん Hal Hartley の新作 「フラート "Flirt"」。エンディングが納得いかないし、「トラスト・ミー "Trust"」にはとうてい及ばないけれども、それでも、形式的でくすくす笑える とてもいい映画だった。今年観た中で一番いい映画、お薦め。 で、いきつけの Mary Jane に流れたら、阿部 薫 特集な状態だった。ううう。 _ _ _ 日曜は雨。出歩くのも気が滅入るので朝から渋谷シネセゾンで Agnes Varda par Agnes Varda。「5時から7時までのクレオ "Cleo De 5 A 7"」は、いまいち。 「幸福 (しあわせ) "Le Bonheur"」は皮肉だが、矛盾には至らずといったところか。 ちなみに、今回特別上映されている5本のうち3本「アニエス・vによるジェーン・b」 ('87)、「カンフー・マスター!」('87)、「5時から7時までのクレオ」('61)の3本と、 「歌う女・歌わない女」('77) の4本が、例によってカルチュア・パブリシャーズ からセルビデオで4/25に3,800円で発売される。 97/3/16 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕