現代美術に関して鬱期に突入しているTFJです。行きたい美術展はないんだが、 せっかくの平日の休暇を無為に過ごすのも癪なので、5/1に自転車で銀座・京橋の 画廊をローラー作戦した。 情報誌も美術誌を読むわけでも、案内状が来るわけでもないので、画廊に 行って、フライヤや葉書をマメに拾っていないと、誰がどこで何をやっている のかわからなくなってしまうということもあるのだが。 というわけで、新橋から京橋に向けて、行ったことのある現代美術系の画廊を 片っ端から。といっても、さすがにゴールデンウィーク中ということで、 閉廊しているところが多い。Ginza Graphic Gallery に、なびす、コヤナギ、 アキライケダ、と、いつもそこそこの展示で楽しめる所がのきなみ閉廊だった のが残念。あと、行き忘れたとこともあるが。印象に残ってるところだけを軽く。 加藤 勇 展 「覚醒機能増幅装置III」 ギャラリーQ, 銀座8-10-7 -97/5/2, 11:00-19:00 はじめて観る作家かな。はじめ装置の方ばかり観ていて、なんだろー? と 思っていたが、暫くして壁に映った光と陰が(も)ポイントだと気付いた。 で、一瞬面白いと思ったけど、で、それで? という感もあり。隣の部屋の 違う作家 (名前失念) の「泣き女」はちょっと無気味。泣き声の(?)テープが 売られていたが…。 Claude Cahun "Self Portrait" The Ginza Art Space, 銀座7-8-10 -97/5/11 シュルレアリズムにも関係していたという女性のセルフポートレイト。 いろんな扮装をしての写真で、シュールというよりオシャレに見えるのは 時代のせいかハコのせいか。トランスセクシュラリティというには女性っぽい と思った。 Ilya Kabakov 展「美術家の部屋」 佐谷画廊, 銀座4-2-6 -97/5/2, 10:30-18:30 Kabakov といえば、何かの本でみたいかにもな"東側"の生活空間を感じさせる インスタレーションという先入観もあったのだけど、意外に普通。壁に絵本と いうかイラストというかそんな絵がずらっとかけてあって、それは意外に ポップな感じ。現代美術展というより絵本の原画展みたい。 で、佐谷画廊で観ていたら上の方でがやがやする声が。学生らしき30人程の 集団が入口に。女性ばかりだったような気がするのも謎だが。見学か。ううむ。 コバヤシ画廊の芳名簿の最後に原美術館の堀口さんの名が。ニアミスか。 小林 尚子 展 ギャラリー現, 銀座1-10-19 -97/5/10, 11:30-19:00 緯度経度入りの同じ大きさのモノクロームな絵が、壁いっぱい。コンセプチャル そうで、そうでなさそうで。緯度経度と書かれたものは関係ないそう。こういう フィクションぽさは僕にはいまいちかな。 ギャラリー・アキラ・イケダまで行っても日が暮れなかったので、外苑前へ。 今度はギャラリー・シマダから渋谷に向かって。 外苑前のリブロで、"Step Across The Border"と称して、Recommended 系と いうか Locus Solus 系の音楽CDのフェアをやっているので、軽くチェック したが、目新しいものはなし。で店を出た所で、春木さんと遭遇。 Art to Wear 「アートTシャツ・コレクション:身に着けるアート」 NADIFF, 神宮前4-9-8 97/4/26-5/18, 13:00-20:00 Postcards / Art T-Shirts Gallery 360°, 南青山5-1-17 97/4/28-5/10, 11:00-19:00 これから夏ということで、アートグッズでTシャツを買うのもいいかなー、と 思ったのだけれども。欲しいのは特になかった。残念。NADIFFの方が有名海外 アーティスト寄りか。 刈谷 博 展 「1996年経」 Mizuma Art Gallery, 神宮前5-46-13 97/4/11-5/24, 11:00-19:00 (日祝休) 最後に観たこれが、この日に観た中ではもっとも良かった。白枠の黒板に 白チョークで判読不能なぐちゃぐちゃ(経?)が書かれている。それが、壁に 数枚蝶番で止めてある。また、部屋の中に仕切り状に三枚。壁の黒板の裏には、 96年(?)に世界であった出来事 − ボスニアの内戦、ザイールの難民、 パレスチナの緊張を伝える英字新聞が張り付けてある。そのさりげない 社会性が、ちょっと荒廃した感のあるギャラリーの空間にしっくりきてるか。 ちょっと感傷的かもしれないが。 と流して観た5/1だったが、Gallery 360°の入口で、Paul Auster の文字列の ある葉書に目がとまった。が、その時点で18時過ぎ。もうまにあわない。 ちゃんと情報仕入れてからまわらないから、こうなってしまうというか。 というわけで、5/2にライヴに行く前にちょっと行った落ち穂拾い。 The Locked Room / 鍵のかかった部屋 ギャラリー美遊, 内神田2-3-6 97/4/22-5/10, 11:00-19:00 (日祝休) - 鷹見 明彦 (curator), 紫牟田 和俊, 向山 喜章, 森田 多恵 Paul Auster "The Locked Room" (ポール・オースター『鍵のかかった部屋』 (白水社)) は、僕が90年代に入ってから読んだ小説の中でも、もっとも好きな ものの一つだ。その小説をモチーフにした展覧会。 意外に明るい展示にちょっと驚いた。 あと、"The Locked Room" を含む Paul Auster のNY三部作は、(小説に) 書く ということはどういうことなのか、という問題意識がその作品のメタ・フクション 的な面を保証していたと思うし、それだからこそ良かったと思っていたのだが、 この展示では、そういう方向性が感じられなかったのが残念。 というか、どうして "The Locked Room" を持ち出したのか、展示からは 意図不明だ…。 97/5/3 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕