レヴューが書き辛いこの展覧会、 Two Thousand Bug http://www.big.or.jp/‾flipper/htm/channel-1/c-1-2.html 97/7/1-12/31 というWWW上の展覧会と並行して開催された、画廊での展覧会のオープニングへ 先日行ってきた。オープニングということもあって、丁寧に作品を観ているとも 言えないので、簡単に。 Two Thousand Bug (第三回) ギャラリー流儀, 港区芝5-16-7芝ビル2F 97/10/7-13 - 高橋 信久, 中村 ケンゴ 最近の個人的な関心事に「『反動のポストモダニズム』としての渋谷系(音楽)」 というものがあるうえ、「エヴァンゲリオン」の心理リアリズム的ともいえる 評価のされかたに反動的なものを感じていたこの頃だっただけに、渋谷の地図に 「エヴァンゲリオン」のスチル、という僕にとって反動の象徴ともいえるものを 重ねた 高橋 信久 の作品はちょっと意味深長。だた、単に重なっているだけ、 という感もある。立体視の方はいまいちピントこなかったけれど。 逆に、中村 ケンゴの東京の地下鉄のラインカラーを用いた作品は、コンセプト より、日本画の顔料が、今年に都立現代美術館で観た Jasper Jones の蝋の ような感じだったのが面白かった。アイデンティティ・カラーを使ったものと しては、コンビニエンス・ストアのCIカラーを使った中村 政人の作品を思い 出すけれど、あちらは看板をそのまま使っていたので趣がかなり違う。あまり ダイレクトに地下鉄を想起させないからだ。しかし、例えば、笠原 恵実子の "Pink" のようなあとでその色の由来を知ったときの印象の強さ − それは色 使いの約束事とも関係あるが − と比べても、地下鉄のラインカラーでは いまいち弱い − ああ、地下鉄ね、で終ってしまう − かな、という気もする。 WWW site を見ても全体像を掴みかねていたので、展覧会に行けば何かわかる かな、と思ったけれども。結局わからなかった…。この夏に題に「複雑系」と いう言葉が使われた展覧会があって、観たら「何が複雑系?」だったのだが、 ここでの「2000年問題」もそれと同様。テーマと作品のズレが面白かったりする 場合もあるし、作品が良ければ、題や企画はどうでもいいのかもしれないが…。 あと、この 2000 Bug の WWW site にかかわらず、美術系の site を見ていると、 WWW ではなかったものを、もとのメディアや WWW の特質も省みずに、そのまま WWW に持ってこようとしているように感じる site が多い。そういうことも 必要なときもあるとは思うけれど、どうも media-conscious じゃない。これは、 同人誌から移行した e-zine の site でも感じられることなのだが。第x号とか 振っている e-zine なんかはかわいい方だけど、plug-in などのテクニックで ゴリ押ししていたりすると、ちょっと…。WWW の動的な面を活用して、WWW site で作品の公開制作するなんて、広く行なわれてもいいと思うのだけどなぁ…。 _ _ _ なんてことは、あまりオープニングのパーティのときには話せずに、普通に 談笑していたのでした。美術館関係のパーティには出たことはあるけれども、 こういう画廊でのは初めてで勝手がわからず、ちょっと緊張しましたが…。 楽しめました。それに、意外に知っている人に会ったりして。ううむ。 97/10/13 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕