ノルウェー現代美術の3人 − 場としての表現 Extended Points: Three Contemporary Artists from Norway 原美術館, 品川区北品川4-7-25 (品川) tel.03-3445-0651, http://www.haramuseum.or.jp/ 97/11/1-98/1/18 (月火休;11/3,11/24,12/23開;12/27〜1/6休), 11:00-20:00 - Kjell Bjorgeengen, Per Inge Bjorlo, Per Barclay 出展している3人とも知らない作家だったので、予想が付かなかったのだが、 いずれもインスタレーション作品で、とても面白い展覧会だった。 ちなみに、3人とも50s生まれで、Norway出身。 最も気にいったのは、1階ギャラリーIIの Kjell Bjorgeengen (oは/付き。 ヒェル・ビョルゲエンゲン。) の「ゼロについて」。暗い部屋の中を6つの プロジェクタが一列に抽象的な映像を投影しているというもの。映像は いわゆる「砂嵐」を若干暗めにしたようなもので、音に合わせてむらが 変化するというもの。音は Evan Parker の soprano (tenor かも) sax の ソロ演奏で、循環気法は用いず、断続的に抽象的なフレーズが鳴っている。 ひょっとして、もともとは live でやっていたのかもしれない、思わせる ところもある。Evan Parker は最近は Electro-Acoustic Ensemble での _Toward The Margins_ (ECM New Series, ECM1612, '97, CD) や、Evan Parker & Lawrence Casserley, _Solar Wind_ (Touch, TO:35, '97, CD) といった電子音響系の作品を続けてリリースしたわけだけど、こういう インスタレーションを観ても、Evan Parker の sax の音色は電子音響に 近いんだなぁ、と思う。冬に星空を眺めているような、ちょっとひんやり した感じがする作品だ。 Per Inge Bjorlo (Bjor- のoは/付き。ペール・インゲ・ビョルロ。) は、 ガラスを使ったインスタレーション。無骨な鉄製の明るい照明が天井から 突き出たギャラリーIIIは、床にガラスが敷詰められていて、歩くとその 割れ目がピキッキシッっと音を立てるのが、なんとも。ギャラリーIV は もっと凄く、壁からいくつもの鋭いガラスの刃が突き出ているもの。 ガラス敷の道を歩くのだが。外から覗いたくらいでは、ちょっと丸い感じも するのだが、中に入ると生理的ぞっとする。そんなギャップも面白い。 階段の壁にかけられた抽象絵画は、寒色系とはいえインスタレーションとは 脈略があまり感じられず、その支離滅裂さも気になったけれども。 ギャラリーVは、Per Barclay (ペール・バークレイ) の「世紀末」という インスタレーションは、二次大戦の戦死者墓地の写真を使っているものだが、 その死のイメージがステロタイプかな、という気がして、いまいちだった。 あまり明るい/暖かい感じのする展覧会ではないが、それが Norway らしい というのは、偏見か。これからの寒い季節、しんみり観るのもおすすめ。 さて、原美術館といえば、Cafe d'Art のイメージ・ケーキ (企画に出展 された作品をイメージしたケーキ)。今回は Per Barclay 風のモカ・ クリームのケーキ。墓地の十字がココア・パウダーで形どってある。 あまり作品をイメージさせる出来ではないけど、美味しいからいいか。 97/11/23 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕