20s欧州前衛が好きな TFJ です。 観に行ってからちょっと間があいて印象も薄れてしまっているのだけれども、 やっていますよ、という紹介程度に。 バウハウスの写真 Bauhaus Fotografie 川崎市民ミュージアム, 川崎市中原区等々力1-2, tel.044-754-4500 97/11/23-98/2/1 (月休;祝日の翌日休;12/28〜1/5休), 9:30-17:00 97/12/6に開催された Rolf Sachsse の講演会「モダニズムとナチズム ― バウハウスの写真における考察」("Bauhaus-Moderne und Nationalsozialismus in Fotografie") を聴いてきた。Bauhaus はナチス政権によって封鎖され、 その前衛美術作品の中には「退廃芸術」として抹殺されたものもある。 しかし、美的には連続性もあり、Bauhaus 出の多くの作家のとった態度は 一般のドイツ市民のものとたいして変らず、特に写真はナチス政権では芸術 ではなく消費財とみなされた弾圧されなかったこともあり、その連続性が よく見られる、という話を、実際にそのスライドを観ながら聴くことができた。 まあ、ある程度予想していた内容だったが、ふと「ロトチェンコの実験室」展 @ ワタリアム美術館 ('95〜'96) で観た、Alexander Rodchenko の写真作品の 変遷のことを思い出してしまった。Rodchenko の遠近短縮法やフォトコラージュが Bauhaus の写真展のメインの Laszlo Moholy-Nagy の手法と似ていることも あるのだが。ロシア/ソヴィエト・アヴァンギャルドもスターリン政権になって 弾圧され、社会主義リアリズムが公認の美学とされたこともあり、断絶性が 強調されがちだが、その一方でその連続性も指摘されているし。 展示の方は写真展ということで写真が中心。Moholy-Nagy の実験映画のビデオを 使ったビデオ・インスタレーションがあったのだが、その音が会場全体に 響いていたのはまずいと思う。 Marcel Breuer の "Wassily" 椅子が、実際に座れるように展示されているので、 これには是非座っておくことをお勧め。 これに連動して、 ワイマール時代のバウハウス Staatliches Bauhaus In Weimer 1919-1925 ミサワ バウハウス コレクション, 高井戸西1-1-19, tel.03-3247-5645 97/11/17-98/3/24 (水土日祝休;12/26-1/4休); 10:00-17:00 (金-19:00); 予約制 という展覧会も開催されている。平日だけというのは厳しすぎる。 さて、Bauhaus に続いてもう一つはこれ。 デ・ステイル 1917-1932 ― オランダ新造形主義の美術と建築 De Stijl 1917-1932: Art and Environment of Neoplasticism セゾン美術館, 池袋駅東口西武百貨店隣, tel.03-3272-8600 97/12/13-98/2/15 (98/1/1,20,27,2/3); 10:00-20:00 Holland の前衛運動 De Stijl の回顧展。美術は1階の半分ほど、 残りはインテリア・デザイン、建築。2階はほぼ建築展。建築の図面はやはり 見慣れないと辛いかな。そういう意味では、Gerrit Rietveld の設計した 「ヘレンシュタイン邸」のベッドルームの完全復元は、やはり見物かもしれない。 こういう部屋に住んでみたい〜。 Rietveld の「レッド・ブルー・チェア」がいくつも展示されていたのに、 一つも座れるものがなかったのが残念。川崎市民ミュージアムの Breuer の "Wassily" 椅子みたいに、座れるように展示されていたらいいのに。 これだけまとめて De Stijl の作品を観られるのは、とてもありがたかったけど、 一年余り前に Bauhaus の回顧展をここでやったときも傍目に思ったのだけど、 いまいち批判性に欠く脳天気っぽい企画な気もする。って、「モダニズムと ナチズム」なんて講演を川崎市民ミュージアムで聴いた後だったからかも しれないのだけれど。まあ、楽しめるという面はいいと思うけれど。 97/12/21 嶋田 "Trout Fishing in Japan" 丈裕