NYから来日した川仁さんと、秋葉原巡りしてきたTFJです。そのついでに、行って きました、去年11月の布谷ビルに続いて。去年の _Chora L Works_ な話から、 やはり実物を見ておきたくなったので、今さらながら。 KOIZUMI ライティングシアター/イズム 千代田区神田佐久間町3-12 (秋葉原), 03-5687-0081 年末年始夏休み毎週水曜休, 10:00-18:00 都内にある Peter Eisenman 設計で知られるビルの一つは、電気街のある西口と 逆の東口側、昭和通りを渡って、神田川から1,2本目の路地を入ってしばらくの ところにあった。意外と地味で目立たない。ガラス張りの部分は他の建築家で、 デコン (deconstruction、脱構築) しているパステルカラーの部分だけが Peter Eisenman の設計したものだったと思うのだが。 照明のショールームとして建てられたビルであるので、受付をすれば中に入って 見学ができる。というわけで、見学をしてみた。 まずは6F、イズムラボラトリーということで、特に照明のショールームになって いない。いきなり、デコンしたライブラリーがあって、ちょっと平衡感覚を失う ような室内。外から見たデコンした上の部分の中はこんな感じか。しかし、外壁も そうなのだが、パステルカラーのピンクとライトブルーを使っているのが災い してか、妙に汚れが目立つのも気になる。 しかしちょっと裏に回ると、普通のビルという感じになっている。以下、階下の ショールームに下ると、確かにデコンな部分が貫入しているところがあるのだが、 端の一部というかんじでちょっとした装飾程度。デコンした空間をショールーム として使っているというわけではない。3階にも下からデコンが貫入している ところがあるも、やはりオフィスの一角みたいにして使っているだけ。 で、1階まで降りてきて、メインともいえるデコンしたスペースへ。いやー、 空間は死んでました。かつては「アイゼンマン・ギャラリー」として使われて いたのだろうか。もう、何も展示されておらず、壁も薄汚れて、寂れている。 「足元にお気をつけ下さい」という表示も、かつてここで平衡感覚を失って よろける人もいたのかもしれないが、今やもうほとんど誰も読まないだろう。 というわけで、完全に空間をもてあましている感あり。できたばかりの活用 されているときに見ていれば、また違う印象だったかもしれないが。かなり ハズした感じがする。ううむ。わざわざそれだけのために観に行くところ ではないだろう。 平衡感覚を失う、といえば、養老天命反転地、というわけで、その後、西新宿 というか初台のオペラシティへ。 新しい日本の風景を建設し、常識を変え、日常の生活空間を創りだすために 荒川 修作 / マドリン・ギンズ展 Arakawa / Madeline Gins, _The City as the Art Form of the Next Millennium_ NTTインターコミュニケーション・センター(ICC), 西新宿3-20-2 (新宿,初台), 0120-144199, http://www.ntticc.or.jp/ 98/1/24-3/29 (月休;2/9休), 10:00-18:00(金-21:00) 初日24日は 荒川 修作+Madeline Gins の講演会があるということで、それを 狙っていたのだが、意外に人気があって満員。入場すらできなかった。ううむ。 仕方ないので、ギャラリーAの展示へ。ギャラリーの中央に「宿命反転/ センソリアム・シティ (東京湾)」の大きな模型が作ってあって、その両側に スロープが作ってあって、見下ろせるようになっている。あとは、壁に図面 などの大きなコンピュータ・グラフィックが貼ってあるだけ。 「養老天命反転地」にしても、そこを走り回ったときの直接的な身体感覚が 面白いのであって、そのコンセプトとかはどうでもいい (どころか、ちょっと ハズしているところすらある) と思うことが多いだけに、模型や図面を見せ られても…。仕上がりも、例えばどこかの科学博物館の「中生代の××地方」 という模型と説明図と同じようなノリを妙に思わせるところがあったりして。 こういう科学博物館ノリというのは、NTT-ICC全体から感じることでもあるが。 そんなことなら、「宿命反転部屋」でもギャラリーに作り込んだほうが面白 かったりするんじゃないかなぁ、と思ってしまったりして。 ちなみに、この展覧会の関連企画として、2/22までICCのシアターで荒川 修作 +Madeline Gins による映画 _Why Not (A Serenade of Eschatological Ecology)_ ('69, 110min) と _For Example (A Critique of Never)_ ('71, 95min) の 上映をしている。前者は毎日16:00〜、後者は金曜18:30〜。 と、Peter Eisenman な小泉ライトシアター/イズムと、荒川 修作+Madeline Gins 展のハズし具合を見て、理念の持て余し方について考えさせられてしまった。 98/1/25 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕