_Goshogaoka_ - Directed by Sharon Lockhart - 1997. 16mm, 63min 東京都現代美術館講堂, 江東区三好4-1-1木場公園内 (木場), tel.03-5245-4111 98/1/30, 18:00-; 98/2/8, 14:00-, 16:00- ARCUSのアーティスト・イン・レジデンスで96年から茨城県守谷町にいる Los Angels の女性アーティスト Sharon Lockhart による16mm映画、というより、 フィルム作品。題名は、舞台となっている御所が丘中学校からとられている。 その中学校の女子バスケットボール部員が出演している。 といっても、ノンフィクションの女子中学生の青春スポーツドラマを撮っている わけではない。カメラの動きもカットも全く無い10分間 (16mm 1巻の最長時間) の シーンが6つ、そのどのシーンも中学校の体育館兼講堂の後方中央からステージを 望むというカメラのアングル、位置も全く同じ、という形式だけ言っても、 それは明らかだろう。 この映画は、その体育館で繰り広げられる練習の光景を延々と捉えている。 それも無秩序に展開されるものではない。おしゃべりしたりふざけあうような 光景は全く無い。練習光景のドキュメンタリー映画ではない。マスゲームの ように空間的時間的に秩序立って行われる練習光景だ。確かに、去年末に観た ベルギーのダンス・カンパニー Rosas のダンス映画 _Rosas Danst Rosas_ を 連想させるところはある。実際、この映画を製作するにあたって、Lockhart は 日常的な動きを扱った60〜70年代の Merce Cunningham らのダンスについて調べ、 フランクフルト・バレエの振付師 Stephen Galloway を招いて振り付けを 付けたという。 しかし、この映画は、バスケットボールの練習の動きをモチーフにしたダンス 映画ではない。運動の活き活きをした動きを想像するには、あまりに生気が無い。 彼女たちはたいていうつむき加減に体を動かしている。それに、映画の最後の 方で沈鬱にぼそぼそと歌われる校歌 (と思われる歌) を聴くといい。もちろん、 そういう生気の無いダンスもあるかもしれない。しかし、彼女の動きはおそよ コントロールされているとは言い難い。まだバスケットボールを始めたばかりの 人もいると思われる、拙い動きが目立つものになっている。その拙い動きが、 ダンス映画にはない生々しさを生んでいる。 この映画に感じるのは、ほかの類の映画 ― 例えばダンス映画 ― とのズレだ。 そしてそのズレは、単に映画の形式だけでなく、体の動き、さらに部活動での 練習といったものも、自然なものではない (Natural is not in it!) 、と人に 思わせるものになっていると思う。それがこの映画の魅力だと僕は思う。 この映画は、'98年1月のサンダンス・フィルム・フェスティヴァルの上映作品 にも選ばれたという。今回の東京都現代美術館での上映は三回だけのようだが、 ユーロスペースのアート・ドキュメンタリー映画祭あたりで上映されてもいい ような映画だと思う。 ちなみに、これに関連して、以下のような展覧会が開催されている。 Sharon Lockhart 新作写真展 Wako Works of Art, 西新宿3-18-2-101 (新宿,初台), tel.03-3373-2860 98/1/28-2/28 98/2/8 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕