『ピーター・ハリー展』_Peter Halley_ 小山登美夫ギャラリー, 江東区佐賀町1-8-13食料ビル2F, tel/fax.03-3630-2205 98/3/3-28 (日月祝休), 11:00-19:00 80年代に Neo-Geo もしくはシミュレーショニズム (simulationism) の作家として 紹介されてきた Peter Halley の展覧会が北九州で開催されているのだが、それに 関連して、東京でも、小山登美夫ギャラリーで展覧会を開催している。といっても、 最近の作品のみ、大きな油彩 (?) が一つに、スケッチが数枚、と、とうてい全容を 把握できるようなものではないが。 大きな絵を見てぱっと想像したのは、電子集積回路の拡大図。それは、その幾何的に 抽象化された絵 (独房、もしくは家をイメージしたものらしい。) のパターンが、 電子集積回路のパターンっぽい、ということもあるのだが。それよりも、エッチング して形成された回路のように、絵の表面が色の境目で段が付いていることが、 それを連想させたのだが。なんでも塗り重ねてその段をつけたという。他にも表面を ぼこぼこにしたところがあったり。ギャラリーに置いてある図版と比べると明らか なのだけど、図版だと単に奇麗に塗り分けられた平面にしか見えないのだけど、 大きな絵を実際にみると微妙に立体的で、それが面白い。 というわけで生でちゃんと観てみたくなったが、北九州はあまりに遠い…。ちなみに、 『ピーター・ハリー ― 社会を解読する絵画 1981-1997』 北九州市立美術館, tel.093-882-7777 98/2/28-3/29 『ピーター・ハリー版画展』 SOAP, 北九州, tel.093-551-5522 98/3/1-31 さて、図版と一緒にギャラリー隅の机に置かれていたのが、Peter Hally が発行 している _Index Magazine_ という雑誌。最新号を入手することができたので 紹介したい。 _Index Magazine_, Vol.2, No.6, Jan/Feb, 1998 (Index Magazine, ISBN1-891735-00-4, '98) NYで出版されているB4サイズと大判で100ページ余りの隔月刊誌。記事の中心は インタヴューで、そんなに堅い感じはしない。ただ、表紙以外はモノクロ、写真は ふんだんに使われているが、文章は全てタイプ文字。ある意味で地味な編集デザイン なのだが、ポリシーを感じさせてくれて好感が持てる。広告もちゃんと取っている。 今のところの最新の Jan/Feb, 1998 号の表紙は Sonic Youth の Kim Gordon と Thurston Moore。ということで、彼らのインタヴュー記事がカバー・ストーリー。 自分たちのレーベル SYR (Sonic Youth Records) を設立した理由とかを話している のだけれど。 Thurston Moore が「もっと売れたい」としきりに言っている。 「Phish は百万単位で売れている。僕らは百単位だ。僕らはもっと売れるはずだ。」 とか言っていて、可笑しい。 インタヴューは、ファッション・デザイナー Isaac Mizrahi、建築家 Deborah Berke、 美術作家 Charles Ray、詩人・小説作家 Eileen Myles、Sex Pistols のジャケット デザインを手掛けていた Jamie Reid と多岐にわたっている。他にも小さな記事が いろいろあるのだが、Cindy Sharman が手相を見てもらう、なんていう企画もあって 笑える。 Charles Ray の事故った車をキャストした彫刻作品は _Artforum_ 誌の広告で観た ことがあったのだけど、このインタヴューを読むまで事故車を白く塗った作品だと 思っていた。これは凄い。で、インダヴュワーはなんと小説家の Dennis Cooper。 ちなみに、Cooper は _Artforum_ でも展評をよく書いているのだが。 しかし、Jamie Reid て田舎にひっこんでしまっているのか。と、Jamie Reid に インダヴューしているのは、Bob Nickas こと Robert Nickas。Nickas はこの雑誌の 編集長でもある。95年に原美術館に巡回してきた _Pictures of the Real World (In Real Time)_ 展のキュレータでも _Performance Axiety_ (Museum of Contemporary Art, Chicago, '97) にエッセー "A Brief History of the Audience: 1960-1981" も寄せていた。こういった仕事からしても、この _Index Magazine_ の 誌面は納得だ。 洋書店でみかけたことはないのだが、定期購読では海外で一年 (6号) で$50と 一冊1,000程度。ちなみに、WWW site は http://www.indexmagazine.com/ 。 _Artforum_ よりずっと気軽に読めるかもしれない…。 98/3/17 (98/3/15) 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕