Gerardo Suter - Photography & Video Installations from Mexico 原美術館, 品川区北品川4-7-25 (品川,五反田) tel.03-3445-0651, http://www.haramuseum.or.jp/ 98/4/18-6/28 (月休,5/4開), 11:00-20:00 (土日祝-17:00) メキシコ (生まれはアルゼンチン) の、それもヴィデオ・インスタレーションや 写真をメディアに用いている作家、ということで、観るまでおよそ作風の想像が つかなかったのだが。呪術的な面をした人の写真や、実際にある白い砂の上に 砂を掻き揚げる人のヴィデオを重ねるような虚実の混交のさせかたなど、ふと、 Octavio Paz, Gabriel Garcia-Marquez, Julio Cortazar といったラテンアメリカの 幻想文学を連想してしまった。そういうラテンアメリカの芸術に対する先入観に 捕らわれている部分はちょっとあるかもしれないが。 ただ、文学作品のモチーフとして魅力的なものが、写真やヴィデオのモチーフと して魅力的とは限らない。逆に写真やビデオでは妙な物語っぽさに興覚めする ときもある。そういう意味では、2階の通路にあった、ほとんどサンド・ストームの ような画面のヴィデオ作品の突き放し具合が、ちょうど良かったかもしれない。 と、作品としての魅力はいまいちだったのだけど、そういえばこういう作品って 観ていそうであまり観る機会の無かった作品と思った。思えば、一昨年から昨年に かけて、アジアの現代美術展、ジェンダー関連の企画、といったものが流行した にも関わらず、原美術館ではその手の企画を全くやっていないのだ。去年末の ノルウェー美術展にしろ、このメキシコの作家の展覧会にせよ、周囲の流行など 気にせずにマイペースに展覧会をやっている、という感じもあって、逆にこういう 企画も貴重なのかなぁ、とか、思ってしまった。 さて、原美術館といえば、Cafe d'Art のイメージ・ケーキ。今回は作品から ケーキを作るのが難しかったのか、作品とは関係ないソンブレロを形どったケーキ。 メキシコのイメージで、ということのようだが、反則だよな。ちなみに、会期中は メキシコのビール (Corona など) も飲める。 98/4/25 嶋田 Trout Fishing in Japan