Dumb Type 2題。 BuBu & 嶋田 美子: Made in Occupied Japan オオタファインアーツ, 渋谷区恵比寿西2-8-11 (恵比寿,代官山) - 98/2/9 嶋田 美子 と Dumb Type の BuBu のコラボレーションによる展覧会は笑える展覧会 だった。嶋田 美子 の作品は、ここ2年ばかり続いたジェンダー/セクシュアリティ に関する美術展で観る機会があったが、従軍慰安婦と報国婦人会を重ね合わせた作品 のように気になるものがあった一方、ユーモアにかける気もしていた。しかし、 そんなことも忘れさせるような、ふっきれた作品になっていると思う。 嶋田 美子 の扮するマッカーサーと BuBu の扮する裕仁天皇のポートレート (ただし 赤いハート型の枠付き) とか、そのまんまとでもいうような二人の演ずる名画の パロディとか、単にパロディであるということより、その二人の存在感が掴みの いい笑いを誘う作品なのだ。 それは、10日に行われた「荒野にも日は昇る」というトークショーにも言えること だった。午後のお茶会、ということで、ゆっくりだらだらとやっている会かと思って 遅れて行ったのだが。それなりに演出もある1時間程度のショーで、遅れていった ことが悔やまれる。特に、森 あい (あくまで実践 獣フェミニストグループ FROG 主催) のトークがほとんど聴かれなくて残念。笑えるトークのようなだけに。 しかし、笑える、といっても、おちゃらけているわけではない。むしろ、テーマ的 には、笑っていいものなのか、と思わせるところすらある。正直に言って、観る前は 少しヒいていたところもある。攻撃的/過激とでもいうものを想像させるものも あるし。しかし、実際にトークを聴いていても、よくよく考えれば常識的な範囲の ことを言っているとも思われたし。ただ、常識的な範囲だからつまらない、という わけではない。実体験に基づいているから無批判、というわけでもない。むしろ、 「常識的な範囲」の中での実体験と世の中のズレを、笑いによって乱反射して見せて くれるような強さを感じさせてくれていると思う。 10日に「荒野にも日が昇る」を観た後、代官山から表参道に流れて。 古橋 悌二「LOVERS」/高谷 史郎「frost frames」 スパイラルガーデン, 港区南青山5-6-23スパイラル1階 (表参道) 98/4/10-21, 11:00-20:00 今まで DumbType はほとんど人気を横目で眺めていた感もあり生でパフォーマンスを 観たりしたことがなかった。この94年に発表されたインスタレーション「LOVERS」も 初体験。意外に居心地のいい空間で、結局、1時間くらい中にいたかもしれない。 黒い布壁の正方形の空間で、照明は青い蛍光燈が数少なく付いているだけで、暗い。 そんな壁に、全裸の男女が歩き走り立ち止まる様子、動くスリット光やいくつかの 単語が投影される。映像の解像度は粗めで、その動きは若干のスローモーションと ディレイがかけられている。投影される映像の動きは、中にいる人の配置に反応して 変化している。音は弱い電子音が静かに鳴っている程度。たまに具体音らしきものが 聞えるのは気になったが。 しばらく観ているうちに、壁を動き回る映像を相手に遊びたくなってしまう。 スリット光を掴むふりをしたり、像の手を取ったり肩に手をかけるふりをしたり。 投影される像と自分の体を重ね合わせたり、同じ動きのふりをしたり。それに、 他人の身体の上に像が小さく投影されるのも、なかなか面白い。不思議と飽きない。 実際、客は多かったしそれも長居している人が多かったが。 と、映像と戯れつつ、一緒に観ていた人とおしゃべりしていたら、他の客から 「作品が観たいんですけれど」と言われてしまった…。しかし、腕を組んで壁に 写る像を観ている客が多かった、というのも、なんか不気味だった。 高谷 史郎 は、なんか Dumb Type 流の「ひかりのからだ」の表現みたい、とか 思ってしまいました。 98/4/10 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕