Langlands And Bell TN Probe, 港区六本木5-14-35, http://www.mmstudio.miinet.or.jp/tnprobe/ 98/4/18-5/22 (日休), 11:00-19:00 建築系のギャラリーでの初の美術展。といっても、意外と違和感なし。というか、 建築模型風の作品が多い。建築物の構造を、それがもつ社会性を顕かにする ような視点で展示する、ちょっと皮肉っぽいユーモアを感じさせる作品だ。 刑務所の模型を上から見る形で白い椅子にはめ込んだ作品 _Maisons de Force_ ('91) が気にいったのだが。刑務所が放射状の対称構造を持っている話は、 受刑者の監視の死角が出来辛いから、という話を聞いたことがったが、そこで 使われている実在の刑務所の構造も、、死角が出来辛そうな作りになっていて、 なるほど、という感じ。そういえば、美術館をモチーフにした作品も意外に 刑務所っぽくて、美術館は美術の刑務所か、とか、ふと思ってしまった。 このような対称性を持つ建築物としては、平城の城郭なども連想させるものが あって、これは、いわゆる死角というか弱点ができないようにするため、と、 いう話を聞いたことがある。そういえば、対称性とはちょっとズレるが、 19世紀に Paris を大改造してごちゃごちゃした部分を整理したのも、市街に バリケードを設置できないようにするためだったし。もちろん、そういった 機能主義だけが、建築物や都市計画における対称性の理由ではないと思うが。 そういう対称性の由来とが、ちょっと気になってきてしまった展覧会だった。 しかし、刑務所や美術館、城郭などは、確かに象徴的ではあるけど日常性に 欠くかなぁ、オフィスビルとか集合住宅でやったらどうなるんだろう、とか 思ってしまった。住宅とかは、まさに家庭のあり方を反映させるような面も あるわけだし、オフィスの机の配置はその組織の構成を反映させています。 近年のリストラでオフィスの間取りや席配置だってがらりと変ったはずだ。 今の僕にはそういったミクロポリティクスとでもいうべき方が興味がある。 そういえば、Peter Halley は独房や住宅らしきものをモチーフにしているわけ だけど、彼が平面図を用いないのが気になってきてしまった。 ちなみに、この Langlands And Bell は自分の web site を持っている。 URL は http://www.langlandsandbell.demon.co.uk/ 。 しかし、ここに来てイギリスの若手アーティストがブームなような気がするが、 これは今年が英国祭'98だからということが大きいのだろう。 98/5/31 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕