Electronically Yours ― 電子時代の新たなる肖像 東京都写真美術館, http://www.tokyo-photo-museum.or.jp/ 98/6/27-8/26 (月休), 10:00-18:00 (木金10:00-20:00) - Margaret Benyon, Ennio Bertrand, Luc Courchesne, Lei Cox, 古池 大介, Markus Kaech, 森村 泰昌, Tony Oursler, David Perrett, Pierrick Sorin, Marty St. James, Studio Azzurro, Costas Tsoclis ヴィデオやコンピュータを用いたインスタレーション作品を中心とする「メディア ・アート」の展覧会。ICC を挙げるまでもなく、この手の展覧会は「科学博物館」 ノリになりかねない。実際、モーフィングを使った作品をはじめとしてその域を 出ない作品もあった。会場や展示の作りも、衝立て区切りの「公立博物館」ノリを 否めなかった。それにもかかわらず、楽しめる作品もかなりあった、展覧会だった。 というわけで、気に入った作品だけ紹介。 ギャラリーの外のエントランスホールから作品が展示されているのだけれども、 そこに展示されていた Pierrick Sorin. _A Very Full Life_ (1994) が大笑い。 沢山並べられたヴィデオ・モニターに、ある男性の日常生活のある局面 (若干、 芝居がかっているが) を早回しにしたうえ短く区切ってループしている画像が、 映し出されているだけ。単純なやり口だけれど、それが狂躁的な雰囲気を生み 出していて可笑しい。缶詰を缶切りでひたすら開けつづけているものなど、 壊れた機械のよう。「充実した生活」という題名も皮肉が利いているし。 ギャラリー入ってすぐの Ennio Bertrand, _Memory of the Surface_ (92-95) は、 原爆をテーマにしたものなのだが。薄暗く瓦礫が敷き詰められた中央に薄い スクリーンが下がっている中、フラッシュというにはちょっと長めの照明が 照らされるときがあり、そのときにあるに立っているとその影が暗くなってから スクリーンに投影される、というもの。思わず3回ばかり変なポーズを決めて 変な影を作って遊んでしまいましたよ…。 Tony Oursler の作品は去年末のギャラリー小柳を同様の趣向のもの。ノッペラボウ の人形に、喋る人の顔を投影しているだけなのだけど、不気味可愛いとでもいう ような雰囲気がいい。マットレスに頭を押しつぶされた _Good/Bad_ (1995) とか。 _Smoke_ (performance: Tracy Leipold) (1996) は、喋る顔の投影に加えて、 焼かれているように身体から煙が上がる様子をやはりヴィデオで投影していた。 この拡張も元の雰囲気を損なっていなかった。 Luc Courchesne, _Family Portrait_ (1991-93) は、インタヴュー映像をハイパー リンクでインタラクティヴにブラウズできるようにしただけ、といえばそれまで なんだけど、インターフェスの機械の作りがなんとなくカッコよかったのが、 気に入ってしまった。 98/7/12 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕