日韓現代美術展 ― 自己と他者の間 Art Now in Japan and Korea - Between the Unknown Straits 目黒区美術館, 目黒区目黒2-4-36 (目黒), tel.03-3714-1201 98/10/15-11/23 (月休), 10:00-18:00 - 斎藤 義重, 草間 弥生, 小沢 剛, 平田 五郎, やなぎ みわ, 須田 悦弘, 徐 世オク(オクは金偏に玉), 朴 栖甫, 林 永善, チョウ 龍信 & 尹 愛永, 崔 正化, Byron Kim 企画のコンセプトはよくわからなかったが、個別に気になる作家がいたので、 観に行ってきた。気に入った、もしくは気になった作品についてのみコメント。 一番の期待の やなぎ みわ は、新作 (少なくとも、僕が観るの初めて。) の 『パラダイス・トレスパッサー (Paradice Trespasser)』('98) の I, II。 相変わらずの合成写真作品なのだが。今回は、デパートの案内嬢ではなくブティック のハウスマヌカン風。制服ぽくないだけ、街で普通に見かけるお洒落な女の子、 って感もあって、どきっとする。舞台も、今までのデパートの店内などの装飾的な 空間ではなく、デパートの服を置く倉を思わせる空間だ。その金属製のラックの枠が 檻を連想させる。装飾の少ないモダンな感も、閉塞感も感じる画面だ。I は 360x180 の縦長のサイズで縦の反復をいくらかしているが、II の180径の円型の作品は反復感 はうすい。そういう所も、抜けられそうで抜けられない反復すらない感を受ける理由 かもしれない。マイナーチェンジだが、ちょっと違う展開なのかな、と思うところも あって、興味深かった。他は、『案内嬢の部屋 (Elevator Girl House)』('97) シリーズの3FとB3、『束の間の世界 (A Transient World)』('97) シリーズの 1F/2F/3F。これは、お馴染みのデパート案内嬢の作品だ。 会場の入口に立っていて目を引く韓国の警察官の人形は 崔 正化 (Choi, Jeong-Hwa) の『ファニー・ゲーム』。等身大ではなく、微妙に大き目なのも威圧感がある。 会場の何個所かに、作品や観客を監視するかのように立っていたのが面白かった。 崔 正化 は2年ほど前に流行った一連のアジア現代美術展覧会の中で観たことがあり、 大量生産品 (や、そのキッチュなイメージ) を使ったポップな作風、という印象も あったので、意外な作品でもあった。 平田 五郎『マインド・スペース―空を飛ぶ夢』は、白テント内のパラフィンワックス の家の家に潜り込むというもの。パラフィンワックス敷きの床といい、白いテントの 空間といい、柔らかい白い空間は、ファンタジックですらあった。ま、それだけか、 という気もしたが。 98/11/1 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕