Felix Hess, _How Light Is Changed Into Sound_ Kosuke Tsumura Aoyama Shop Free Space [3], 港区南青山5-6-5 3F (表参道) 98/11/1-11/11, 12:00-20:00 Felix Hess, sound installation Omega Point, 世田谷区池尻1-11-6パークサイドマンション206 (池尻大橋) 98/10/17-11/28, 14:00-21:00 96年6月に旧赤坂小学校で行われた『根の回復として用意された12の環境』展で、 教室の床いっぱいに白い小旗を並べたインスタレーションをしていたのが印象に 残っているオランダ出身の作家 Felix Hess の展覧会。その後、カエルの鳴声を 収録したテープ・LPをリリースしたりしていることを知ったが。今回の2つの 展示はそれらとは全然違う、サウンド・インスタレーションだった。 どちらの展示も、5cm 角も無い木片の上にピエゾ素子を載せ、その上にさらに 小石を載せたものをスピーカー代わり、というか発音体として使用していた。 ジジジジという音が、微妙に変化しながら、そこから出ていた。 表参道の Free Space [3] の展示では、ギャラリーの床の中央に火のついた蝋燭が 立っており、その回りに4枚の小さな太陽電池が床に置かれていた。そして、その 太陽電池がギャラリーの四隅の床に置かれた発音体に繋がれているというもの。 ゆらぐ蝋燭の明りで小さ目の音が微妙に変化しているらしい。昼間は明るいので、 もっとドライヴ感のある音が出るとのことだった。懐中電灯で太陽電池を照らし てもかなり音が変わる、ということだったが。持っていたノートパソコンの液晶 ディスプレイを白くして太陽電池に当ててみたけれど、それほど変わらなかった。 やはり液晶ディスプレイのバックライトでは弱いか。 池尻の Omega Point はサウンド・アート系のレコード店で、その店内を使った サウンド・インスタレーションも行われていた。こちらも、Free Space [3] の ものと同じ発音体を用いていたが、電源は9Vの乾電池であり、小さな気圧センサで 空気の揺らぎを捉えるようになっていた。全部で手のひらに乗りそうなほど小さく 可愛らしいもの。それが、2組、売り物の本やCDが並べてあるテーブルの上と、 レコード・ラックの隙間に置かれて、さりげなく、かわいくジジジジと鳴っていた。 Omega Point では、この展覧会に合わせて Felix Hess の CD4枚組の box set を 限定25組作成したとのことで、それも売られていた。CDのレーベル面はケースの ジャケットは手書きでサイン入り。それがまるで陶磁器を入れるような豪華木箱に 収められているというもの。もちろん、ナンバー入り。しかし、高級陶磁器の ようなノリって、何か違うような気がするのだが…。 Kosuke Tsumura Aoyama Shop Free Space [3] は、表参道の Spiral の横を入る 路地にあるブティック Kosuke Tsumura Aoyama Shop の3階を使ったギャラリー。 まだ数回しか展覧会をしていない新しいスペースのようだが、次回の展覧会も Rolf Julius のサウンド・インスタレーションだということだったので、今後も 期待したいものだ。 Omega Point は、以前は伊勢崎にあったサウンド・アート系のレコード店が、 最近になって東京へ移転してきたというもの。以前から噂には聞いていたけが、 サウンド・アートやエレクトロ・アコースティクな現代音楽への特化ぶりは、 ちょっと退くところもあるかもしれない。 98/11/7 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕