冷たい雨の中の画廊巡り。印象に残ったものをいくつか。 _ _ _ Rebecca Bournigault, _Portrait Real Time_ galerie deux, 目黒区柿の木坂2-10-17 (学芸大学), tel.03-3717-0020 98/9/26-12/19 (日月祝休), 11:00-18:00 暗いギャラリーの一つの壁を背に置かれた椅子と、その前に三脚で立てられた ビデオカメラ。椅子に腰掛けると、左右45°前方のスポットライトが付き、 ビデオによって捉えられたライトアップされた自分の顔が正面の壁いっぱいに 大写しされる。ビデオカメラは、オートフォーカスの一般家庭用のポータブルな もので、大写しの顔は若干荒い。それに、スポットライトが目に入るので、 見づらいかもしれない。 とても単純な仕掛けの作品なのだけれども、意外と面白い。大写しされた 自分の顔を見ると、ビデオカメラの位置が視線より下になる。そのため、 見える顔は上向き加減のものとなり、いわゆる証明写真で変な顔になるときに、 よくあるパターンだ。で、そういう自分の顔が自分の目の前で大写しされるので、 妙に居心地が悪い。この作品の面白さはここだろう。 ちなみに、センサで人が席にいるときだけスポットライトが付く。席から ちょっと身を逸らすとライトは消えてしまう。そのフェードアウトするような 感じもなかなか面白かった。 2Fに展示されたデジタルカメラで撮影したセルフポートレイトは、プリクラと 同じような独特の粗さの使い方にしても、構図にしても、ファッション写真を 思わせるようなポップなところもあるかな。 Rebecca Bournigault はフランスの現代美術作家。デジタルカメラやビデオを 「メディアアート」のような気負い無しに使っているところに28歳という 若さを感じるところもある。こういう作家を日本で観られるのもフランス年の おかげだろうか。 _ _ _ Rolf Julius, _Rot (Schwarz)_ Gallery 360°, 港区南青山5-1-27 (表参道), tel.03-3406-5823 98/11/21-12/5 (日祭休), 11:00-19:00 Free Space [3], 港区南青山5-6-5 (表参道), tel.03-3407-0328 98/11/21-12/5, 12:00-20:00 ドイツのサウンドアート系の作家の表参道の2つのスペースで行われている、 スピーカーを使ったマルチプル作品の展示と、サウンド・インスタレーション。 Gallery 360°の方はいまいちかな。 Free Space [3] の方は、赤く色付けされた径10cm程のスピーカー4台が上向きに 床に並べられていて、そのコーンの上に赤く木目細かい粉が軽く盛ってある。 電子音響な音がそのスピーカーから流れているんだけど、低音がブブッと鳴る度に 粉か動くのが可愛い。スピーカーの回りの床にも薄く粉が広がっていて、たまに 舞い上がるということもあるようだ。微かに香るので、ひょっとしてこの赤い粉は 香辛料か、と、スタッフに尋ねたら、顔料にいくらか来日前に訪れた韓国、中国で 仕入れた香辛料を混ぜたものだという。そういう隠し味もいいと思う。 11/21に Free Space [3] で、11/24に galerie cafe 伝 (経堂) でライヴをやって いたのだけど、観に行けばよかった、と少々後悔。 _ _ _ Sophie Smallhorn Comme des Garcons, 港区南青山5-2-1 (表参道), tel.03-3406-3951 98/11/25- 表参道の Comme des Garcons のショーウィンドーの外側に並べられた、高さ1m近く あろう鮮やかな赤系統の色のブロック。叩いた感触からして、樹脂製だろうか。 その色と直方体もしくは円筒という単純な形状といい、ポップな感じで、巨大な 積み木みたい。雨に濡れていたので実際にはしなかったけれど、上によじ乗ったり 腰掛けたりして遊びたくなってしまう。そんな、なんとなく楽しくなってしまう インスタレーションだ。 アメリカ出身の作家で、大学では家具デザインを学んだとのこと。確かに作品に 家具的なセンスを感じるかもしれない。71年生まれという若い作家だ。 98/12/5 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕