奈良 美智『Walking alone』 ザ・ギンザ アートスペース, 銀座7-8-10 ザ・ギンザビルB1F, tel.03-3571-7741 1999/1/13-2/14 (無休), 11:00-19:00 (日祝 11:00-18:00) 奈良 美智『No, They Didn't』 小山登美夫ギャラリー, 江東区佐賀町1-8-13食糧ビル2F (門前仲町) 1999/1/16-2/6 (日月祝休), 11:00-19:00 大阪の女性三人のロックバンド Shonen Knife (少年ナイフ) のアルバム _Happy Hour_ (Big Deal, 1998) のジャケットにそのドローイングが使われた 奈良 美智 の個展が、 都内二ヶ所で開催されている。 かなりの人気があるようで、比較的不便な場所にある小山登美夫ギャラリーですら 土曜にはきっきりなしに客が訪れているよう。少年ナイフのジャケットに使われて 注目されたのだろうか、と思っていたが、ザ・ギンザ アートスペース の展示では、 そんなことは言及されておらず、客層も少年ナイフなど知らない、とう雰囲気だった。 むしろ、雑誌にイラストのように用いられたものや、『Slash with a knife』 (リトルモア, 1998) のような本を通してポピュラーになったよう。_Happy Hour_ の Tシャツでも手に入るだろうか、と期待していたところもあったので、ちょっと残念。 グループ展などでいくつか作品を観てきたが、これだけまとまって観たのは初めて。 Shonen Knife, _Happy Hour_ のジャケットに使われたものや、"Slash With A Knife" のようなドローイングに見られるような、微妙にかすれたり、滲んだり、擦れて 汚れたりしたような感じと、ちょっと不気味可愛いマンガ風のポップな絵、という 組合せが僕は面白いと思っている。例えば、商品キャラクターのように明確な線と 色で描かれていたら、それほど面白いとは思えないのだ。それだけに、つるっと 滑らかに奇麗に仕上がった立体作品は、どうもポップに過ぎて、僕にとっては いまいち面白くない。ザ・ギンザ アートスペースの奥の犬の立体作品を使った インスタレーションや、小山登美夫ギャラリーの首が積み上げられた立体作品を観て 改めてそれを確認したように思った。小山登美夫ギャラリーの奥の部屋で座って ドローイングの入ったクリアブックを観たときが、最も作品を楽しめたように思うし、 そういう鑑賞法が最も似合う作品なのかもしれない。 1999/1/24 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕