大辻 清司『写真実験室』 東京国立近代美術館フィルムセンター展示室, 京橋3-7-6 (京橋,宝町) 03-3272-8600, http://www.momat.go.jp/fc.html 畠山 直哉 の師である、実験工房の写真家の回顧展。といっても、この展覧会を 観るまで全く知らなかったのだけれど。比較的普通のスナップや、芸術家仲間を 捉えたポートレイトや、実験的な画面構成の写真作品や、と、作風は様々だった。 『飛行機 _Airplane_』(1957)や『氷紋 _Patterns on Ice_』(c.1950s) のような 抽象的な模様として対象を捉えた作品や、対象の組み合わせがシュールな写真 『陳列窓 _Show Window_』(1956) は、その他、実験工房などでの芸術家たちを 捉えたポートレートも合わせて、日本の Man Ray っぽいとは思ったものの、それ 以上ではなかった。 最も目を捉えた作品は、『首都高速 _Metropolitan Highway_』(1967) や 『梓川電源開発 _Dam Site on Azusa River_』(1968) といった、畠山 直哉 そっくりの連作。特に後者は、その奥行き感が無くなるような画面といい、 畠山 の『ライム・ワークス』そっくり。もちろん、畠山 が 大辻 の写真作りを 継承しているのだが。この手のタイポロジー的な写真の原点といえるのかも しれない。カラーの作品なのだがインクジェットでプリントされていたことも あって、旧さを感じさせない作品だった。これらの作品を観られただけでも、 観た甲斐があった展覧会だった。 1999/1/28 _ _ _ 大辻 清司『ポートレイト展』 mole, 新宿区四谷3-7 (四谷三丁目), t/f.03-3357-4975, http://www.mole.co.jp/ 1999/1/12-1/30 (日休), 11:00-19:00 (最終日-16:00) 上述の展覧会に合わせて開催されている四谷三丁目の写真専門の書店 / ギャラリー / 図書館 での展覧会は、1950-60sに活躍していた芸術家たちのポートレートの 展覧会だった。シュール、もしくは、タイポロジー的な作品を期待していたので、 少々残念。 mole に行ったのは始めてだけれど、新宿通りから路地をちょっと入った所にある こじんまり写真専門の書店で、こういうスポットの存在を知ったことは収穫だったが。 1999/1/30 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕