Beat Streuli, _In Japan 1998-1999 Art & Metropolis_ ビューイングルーム, ヨツヤ (ユミ コチバ アソシエイツ), 新宿区四谷1-23川島ビル3F (四ツ谷), tel.03-5360-3461 1999/1/22-3/7 (日祝休), 10:00-18:00 NADiff, 渋谷区神宮前4-9-8カソレール原宿B1F (表参道), tel.03-3403-8814 1999/2/5-3/7 (会期中無休), 11:00-20:00 スパイラルガーデン エスプラナード, 港区南青山5-6-23 (表参道), tel.03-3498-1171 1999/2/9-2/28 (会期中無休), 11:00-20:00 Duesseldorf を拠点に活動する写真作家の東京でのプロジェクトが三ヶ所の展示場所で 展開されている。_The Promise of Photography: The DG Bank Collection_ 展 (原美術館, 1998/10/24-1999/1/17) でも作品は観ていたが、それほど強烈な印象は 残っていなかった。最初に観た ビューイングルーム, ヨツヤ での展示は、東京の 待ち行く人々の中の一人を望遠レンズで捉えた写真を大判に焼いたものだった。 望遠レンズで被写体の人に気付かれずに撮影しているせいか、カメラ目線のような ものが感じられないのだが、その奇麗に感じる写真は、「街のファッション拝見」 のような雑誌の記事にも使えそうなものと思った。が、それ以上のものはなかった。 スパイラルでの展示は、青山通りに面した1Fから2Fへの階段 (エスプラナード) の 窓に、透明なシートにプリントされた大きな顔写真がかけられている。青山通りを はさんでスパイラルを見てちょうど良い大きさだ。スパイラルの中で、やはり望遠 レンズを使って被写体に気付かれずに撮影したもののようだが。やはり、ファッション 写真を使ったディスプレイのように見えてしまう。 NADiff での展示は、山口で撮った写真のスライド上映。やはり望遠で雑踏の中の 一人を捉えたものだが。こちらの方が人物像に幅があって、ファッション写真ぽさ は少ない。連続的に撮った写真のようで、同じ被写体の異なる姿勢の写真や、 あるスライドでの中心的な被写体の隣に移っていた人物が、次の写真では中心的な 被写体になっていたり、と連続性があるものもあった。しかし、連続性を感じたのは、 映写方法も工夫がされていたからかもしれない。2台のスライド映写機が組になって 同じ場所にスライドを上映するようになっており、1台のスライド映写機がスライドを 上映しているとき、もう1台の方は光源を消してスライドを切り替えている。 そのため、切れ目無くフェードイン/アウトするようにスライドが切り替わって いくように見える。近い光景が続けて映写されると、ちょっとした映画的な雰囲気 も生まれる。その手法自体は面白いと思った。しかし、何も変哲の無い街中の風景を ドラマチックにしてしまうように思えて、「誰でもドラマの主人公になれる」と でもいうような現状肯定を感じて、ちょっといやらしく感じたのだけれども。 それは、前に観た2つの場所での展示のせいかもしれないけれど。 そんなスライド上映の中で、同じような長髪なのだが、最初は青年の男性、続いて 中年の女性を捉えたスライドが続けて上映されるときがあって、そのフェードイン/ アウトの瞬間、まるでモーフィングしたようになって、別の人物の重なり具合が とても面白かった。こういう瞬間がもっとあると、楽しめたように思うのだが。 1999/2/14 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕