『アクション ― 行為が芸術になるとき 1949-1979』 _Out of Actions - Between Performance and the Object 1949-1979_ 東京都現代美術館, 江東区三好4-1-11木場公園内 (木場), tel.03-3272-8600, http://www.via.or.jp/~imnet/mot/ 1999/2/11-4/11 (月休;3/22開;3/23休), 10:00-18:00 (金10:00-21:00) Museum of Contemporary Art, Los Angels (MOCA) からの巡回展は、パフォーマンス 的な要素を強く持つ作品の展覧会。いわゆるパフォーマンス・アートの記録に近い ものから、平面/立体作品の制作においてパフォーマンス的な要素が強くなったもの まで、まさに、パフォーマンスとオブジェクトの間の諸相を扱った展覧会だった。 (という点で、原題の方が適切だと思うのだが…。) 日本への巡回が企画時から予定されていたせいもあるのか、日本の作家、特に、 具体美術協会やハイレッドセンターの作品・記録が多く展示されていていた。 入口がいきなり 村上 三郎 の紙破りだし。田中 敦子『電気服』の実物が観られた のはうれしかったが、仕上げの粗い彩色が意外であった。具体ではなくハイレッド センターだが、赤瀬川 原平 の偽札事件の裁判の記録もみることができる。 これらの作品・記録を見ていると、具体よりもハイレッドセンターの方が個人的に 波長が合うように感じたのだが、ウケを狙うセンスがかなり違うように感じた。 アメリカ戦後美術のハプニングや Fluxus などはある程度知っていたので、そんな ものか、という程度のところもあったが、Joseph Beuys とは別に1960年代のドイツ でかなり激しいパフォーマンスを展開したらしいということが、記録で観られて、 興味深かった。生で観たい気はしないけれど。 1979年まで、ということだったが、Cosey Fanni Tutti のポルノや、Mike Kelly、 Paul McCarthy らのパフォーマンス記録など、ポストパンク期のロックの文脈で 知った作家のドキュメントもあり、この界隈も歴史化されてきているのだなぁ、と 感慨深いものがあったが。 ただ、2フロア使った規模が大き目の展覧会で消化不良気味ということもあるのか、 パフォーマンス・アートとしても造形作品としても中途半端で資料的な興味以上の 面白さを感じることろが少なかったのも確かだ。それに、実際観てもダメそうな パフォーマンスの記録も少なくなかったが。東京都現代美術館で観た展覧会に多い のだけれど、勉強になったけれど、感動はしなかった、という類の展覧会だった。 ドキュメントのビデオに関していえば、会場のあちこちに置かれているビデオの ブースにしても、立見でおよそ観る気がしないものだった。別途上映会でもやった 方が、結局のところ観られるようにも思うのだが。 1999/3/6 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕