『MOTアニュアル1999 ― ひそやかなラディカリズム』 東京都現代美術館, 江東区三好4-1-11木場公園内 (木場), tel.03-3272-8600, http://www.via.or.jp/~imnet/mot/ 1999/1/15-3/28 (月休;3/22開;3/23休), 10:00-18:00 (金10:00-21:00) - 丸山 直文, 河田 政樹, 小沢 剛, 関口 国雄, 中沢 研, 杉戸 洋, 高柳 恵里, 内藤 礼, 吉田 哲也 題名の「ひそやかな (modest)」という言葉から想像された通り、良い意味 でも悪い意味でもあまり派手な自己主張が感じられない展覧会だったと思う。 多くが見た目も小さく地味であまり目を引く作品でない。 いきなり、内藤 礼の 細かい透明なビーズを連ねた糸をギャラリーの部屋の 端をぐるりと一周這わせたインスタレーション『環』があり、思わず見落と しそうなほどだった。 中沢 研 は高い天井を利用して、ギャラリー空間の頭上の高さのところに、 テグス糸を多層に正方格子状に張り巡らせたもの。見上げながらギャラリーを 歩き回っていると、照明でテグス糸がきらきらに光るようすがとても奇麗だ。 まるで透明度の高いガラス板が立方セル状に張り巡らされているようにも見える。 中央頭上に白い布上のものを設置してあたったが、そういうものが無い方が ミニマルで良いのではないか、と思うほどだった。 高柳 恵里 の、小さな紙袋や、雑巾やハンカチを丸めて固めた作品も、不気味 可愛いとでもいう風情を醸し出していたが。 と、と気になったのは、この三人だろうか。小沢 剛 の布団の山のような 例外もあるが、全体として 東京都現代美術館の大きなギャラリー空間を ぜいたくにゆったり使っている感もあって、それが気に入った展覧会だった。 1999/3/6 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕