廣瀬 智央 + 植田 暁『プロジェクト A.P.O.』 佐賀町エキジビット・スペース, 江東区佐賀町1-18-13食糧ビル (門前仲町) 1999/3/2-28 (月休;3/22開), 11:00-18:00 http://travel.to/APO/ ザ・ギンザ・アートスペースにレモンを敷き詰めた『Lemon Project 03』(1997/12) の強烈な黄色と酸っぱい良い香りが印象に残っている、嗅覚を積極的に作品に用いる 廣瀬 智央 の新プロジェクトは、建築家の 植田 暁 とのコラボレーション。 といっても、一緒に作品を制作したわけではないようだ。会場は、食糧ビル2Fの エキジビット・スペースの他、1Fの sagacho bis、さらに、食糧ビルの屋上を 使っていた。 エキジビット・スペースでの展示は、廣瀬 によるもの。入ってすぐ背の丈以上の 高さのガラスのケースの中に、樹脂のチップが詰められたものが置かれており、 そこから甘ったるくわずかに酸い香りが広がってくるというもの。さらにギャラリー の奥に向かって、緋のペルシャ絨毯が8枚広がっている。靴を脱いで絨毯の上に登り、 漂ってくる香りを気にするまでもなく、その上でごろごろ。あまり、ソフトな絨毯 ではないので、心地良い、というほどではないのだが。リラックスはできる。 ヨーグルトの香りのスポンジボールで水戸芸術館のギャラリーを埋めた『Paradiso』 (1998/3) を思い出したが、それよりは突き放した感じが良いかもしれない。 一方、sagacho bis での展示も 廣瀬 によるものだが、写真などの小品で、これと いった印象は残らなかった。 今回、この展覧会に行く楽しみの一つとして、食糧ビルの屋上に登られる、という ことがあった。展示を観るために、ではあるが。屋上の展示は、植田 暁 による、 「コラボレーション T.U.A.1」というもので、食糧ビルの屋上にテントを9つ設置し、 そこで滞在・宿泊してもらうということだが、宿泊するほどの余裕も無いし、 それほど長居はできなかったが。テントは、赤い一人用のもので、布団というか 発泡スチロールかそれに類したものの小片を白い布袋に詰めたものが準備されていた。 寝泊まりすれば少々印象も違うのかもしれないが。布団様のものの感触が悪かったし、 天気の良い昼の食糧ビルの屋上で閉塞的なテントの中に入っているのもうっとおしい ので、結局、テントの外で、青空見ながら日向ぼっこした。原宿同潤会アパートの 屋上を使った 加藤 力 のインスタレーション (1996/11) のような、その空間を 生かしたインスタレーションをしているのかとおもったので、そういう点では期待 外れだったが、食糧ビルの屋上に登れたので、よしとしておこう。 1999/3/28 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕