明和電機『百貨展 '99』 小田急美術館, 小田急百貨店新宿店本館11階, 新宿区西新宿1-1-3 (新宿駅西口), tel.03-3342-1111, http://www.odakyumuseum.com/ 1999/3/17-4/4, 10:00-19:00 (最終日10:00-16:30) 明和電機の6年間の活動を辿った展覧会。あまり製品展示会的なノリではなく、 ちゃんと回顧展の様式を踏襲していたように感じた。I.あゆみ、II.ツクバシリーズ、 III.魚器(NAKI)シリーズ、IV.未来へ の4部構成なのだが、最初の「あゆみ」の 話の運び方が、NHKのTV番組で 明和電機 が取り上げられるのと同じような感じで、 こういう「中小の町工場」的なものを強調するやり方も、演出されているのかな、 と思うところがあった。 ツクバシリーズや魚器シリーズの製品で初めて観るものは (おそらく) 無いの だけれども、量産タイプは見た。量産ものも意外と手作りぽいと感じる所もあったり。 もっと思い切ってリデザインしてもよかったのかもしれない、と思ってしまった。 最近の作品からなる未来へのコーナーの、従来の延長ともいえる「プレイメイド」と 電子工作っぽいノリの「ビットマン」の分裂気味の感じも、会場の中でも違う 雰囲気を出していたが。パフォーマンスで使うとどうなるのか、ちょっと気になった。 メディアでの露出も多いし、それほど驚きとかあるわけじゃないけど、楽しめたので よしとしておこう。 ヨシタケシンスケ『このごろのあのころ』 space BIG ART, 横浜市神奈川区神奈川2-10-17宮本ビル2F (東神奈川,仲木戸), tel/fax.045-450-5041, http://www.bigart.gr.jp/ 1999/3/13-4/11 (月火休), 13:00-19:00 1995年の『大アート』展で「ACcess 100」を体験して以来、気になっている ヨシタケシンスケの個展が、彼が運営に加わっている space/studio BIG ART で 開催されていたので足を伸ばしてきた。 ちなみに、「ACcess 100」は、頭に被るフルフェースのヘルメットのようなもので、 顔の前が塞がれているので何も見えないのだけれども、手に持つプラグを電気の コンセントに挿すと顔の前が開いて視界が開けるというもの。コンセントを探し たいときに視界が塞がれているという不条理感が、とても面白いものだった。 『大アート』展以降、一度、「カブリモノシリーズ」(1992-1997) のカタログを どこかの画廊で拾ったきりで、作品を観る機会が無かったので、イラストでしか 観たことの無い作品の実物を観ることが出来たのは、嬉しかった。 が、「ACcess 100」にしても、その馬鹿馬鹿しさというか不条理さは、実際に体験 してみないとよくわからない所もあるように思うだけに、体験できなかったのは、 少々残念だった。会場にいた作家にたずねたところ、観客に体験させるには危険な ものが多いので、展示だけのこと。確かに、いかにも首に負担がかかりそうなものが 多いのだけれど。体験できない代わりに、パフォーマンスの様子を収めたビデオを 観ることができたが。(特に、「オーロラからの生還」パフォーマンスのビデオは、 本当にやったのかー、と思うところも。) あと、この展覧会に合わせて『ヨシタケシンスケ作品集』というブックレットが あるのだけれど、その中の「このごろシリーズ」(1997-) という一連のイラストが 面白い。space BIG ART にも展示されていたが、こういうイラストは、ブックレット で見るほうがいいのかな、と思うところも。 Space BIG ART は、作家が自主運営するスタジオ兼スペース。話を聞いたときは、 スタジオ食堂を連想したところもあったのだが、空間的にはもっとこじんまりした 感じだった。スタジオ食堂がアーティスト指向が強いのに対して、BIG ART は 広告美術やデザインも手掛けており、その手の気負いは無いのかな、と感じる ところもあった。 1999/4/4 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕