Daniel Buren, _To Look Out Of The Window - Situated Work_ Masataka Hayakawa Gallery, 渋谷区恵比寿西1-16-1-301 (恵比寿), tel.03-5457-7991 1999/4/9-5/29 (日月休), 11:00-19:00 縞縞に壁をペイントしたり、縞のフラッグをかけたりするインスタレーションで 知られる Daniel Buren の新作は、なんと千鳥格子だった。それも狭いギャラリー の四つ白壁をそれぞれ、蛍光がかった鮮やかなピンク、グリーン、イエロー、ブルー で千鳥格子を描いているので、かなり派手だ。3年前の水戸芸術館での個展でも、 建築物のユニットになって立方体・正方形の単位を用いて、壁を千鳥格子状に区切 った上でその中を縞に塗るということをしていたが、ここでは、もはや格子のみに なってしまった。格子の単位は床と天井の間を四等分したものになっている。 インスタレーションは千鳥格子に塗られた壁だけでなく、さらに、四つ壁には正方形 窓状のものが2つずつ設置されている。床から天井までの高さの1/4と3/4の所に窓の レールがぐるりと壁を一周走っており、そこをスライドするように正方形の窓が はめ込まれている。窓の格子とレールは、白黒の縦縞になっているが、レールや 窓格子の太さに比べて縞が太いので、ほとんど縞という感じはしない。この縞に 用いられている単位で壁の千鳥格子の単位が割り切れていないので、微妙なズレが とても気になったが。ぴったり合っていても、気持ち悪いかもしれないが。 窓の格子の単位は、壁の千鳥格子の単位に合わせたものと、その半分と小さく なったものと2種類になっており、窓ガラスが千鳥格子状に彩色されていた。 ちなみに、壁の色と窓ガラスの色と窓の組み合わせは、ピンク-グリーン-大、 グリーン-ブルー-小、イエロー-ピンク-大、ブルー-イエロー-小、となっていた。 ガラスの格子と壁の格子で色が重なるのが面白いのだが、色の組み合わせが補色 (ピンク-グリーン、ブルー-イエロー) だったり近い明度の色 (グリーン-ブルー、 イエロー-ピンク) だったりで、ちょっと悪趣味に感じるところもあるかもしれない。 窓枠を動かせば、その変化も楽しめそうだったのだが、窓枠は一応動かせるように なっていたのだが、ギャラリーのスタッフの話では、場所によってはガラスと 壁が擦れてしまう場所があるので、動かすのは遠慮してもらっている、とのこと だった。残念。 ミニマルな格子ではなく窓枠とか入っているせいか、いささか悪趣味というか ポップさに踏み込んでしまったのかな、と思うところもあった。これで窓を 動かして遊べたら、そういう不純さがあってもそこそこ楽しめるかもしれないが…。 1999/4/10 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕