第23回野毛大道芸 "23rd The International Street Performance Festival" みらとみらい21 & 野毛商店街〜吉田町商店街 (桜木町,日ノ出町,関内) 98/4/24,25, 12:00〜16:30 会場を本格的にみなとみらい21地区に広げた野毛大道芸。土曜日はあいにくの 雨だったが、みなとみらい21地区の会場、ランドマークタワーとクイーンズ スクェアの吹き抜けでは、演目は変更になったけれど、問題なく開催された。 闇市あがりの野毛商店街のごちゃっとした感じとは正反対の、モダンで華やかな 商業施設空間で、空間の雰囲気が全く違う。野毛商店街であちこちで勝手に わさわさやっているという雑然とした雰囲気もいいのだが。こちらはタイム テーブルを決めて催し物整然とやっている感じ。演目も、比較的それを意識 したものになっていたと思う。去年の秋に、福岡のキャナルシティへ行ったとき、 中庭でほぼパーマネントで芸をやっていたのだけど、それに雰囲気が近いかも しれない。しかし、キャナルシティよりもランドマークタワーのガーデンスクェアや クイーンズスクェアの方が見通しが効く感じで良いかもしれない。あと、野毛と違い、 大道芸が目当てではない客が多かったので、芸人と客の間に普段の大道芸の ような緊張感もあったように思う。それは良かったと思う。 今回の一番は、Maryse Mugica & Bruno Cerati (Duo Solaris) というフランスは ノルマンディーから来た男女ペアの空中芸。これで14回目の来日だそうだが、 観たのは初めて。いわゆるサーカスというかシルク (Cirque) なんだけれど、 洗練されているというか、モダンなのだ。特に凝った演出があるわけでなく、 本人たちは (クラウンの前座はいたけれど。) 空中芸しかやらない、という ミニマルさもあるし。B.G.M. も trad と free jazz/improv. の混交風のもので、 空中モダンダンス風に感じた。しかし、命綱無しなので、スリリングだ。土曜日は 三セットやったが、全部観てしまった。最初のセットは Maryse のソロの 空中ブランコ。最初のうちは静止。これは (体操競技における) 吊り輪みたいな ものだが、後半になってブランコを振って、優雅に舞うという感じが良かった。 二番目のセットは Maryse & Bruno のデュオでのペルシュ (perche, 棒)。 空中に吊るした小さな足場のついた棒にぶら下がっての芸なのだが、Maryse が 棒から離れて Bruno だけに (それも、途中、リングを介してのみ) ぶら下がるのが、 スリリング。しかし、最もスリリングで見ごたえあったのは、最後の Bruno のソロ のコード (corde, 綱)。ブランコのように張った綱の上での芸だが、大きく綱を 振って、最後は足だけ綱にかけて頭からバンジージャンブ状態になるのが迫力満点。 最低限の演出ながら、みとれる、というより、思わず見入ってしまう、そんな パフォーマンスが良かった。 みなとみらい21の会場は、大道芸というよりサーカス的なパフォーマーが目についた ように思う。それぞれカナダ、ベルギー、アメリカの出身という To Be 2 も、 大道芸人というより、サーカスの道化トリオ風。いわゆる"ピエロ"的なイディオム を用いず、洗練されたアクロバティックな動きで見せるのもモダンだ。楽しめる んだけど、ちょっと舞台的で客弄りが下手に感じたのは、初来日で日本語の壁が あっただけではないように感じた。 David Claypatch a.k.a. That Amazing Guy や 中国雑技団など、お馴染みの 大道芸も屋内のみなとみらい21会場で見られたが。特に、中国雑技団は急遽屋内 になって、やり辛そうだった。 日曜日は好天。野毛商店街〜吉田町商店街は、例年どおり、ひょっとしたらそれ 以上の人出。ふらふらしていても人垣しか観られないので、ステージを決め打ち して、ジャグラーを中心に観たけれど。12時から観たけれど、たいした数は観られ なかった。外国勢はお馴染みの顔。出来も安定して楽しめるので、いいのだが。 日本勢ではジャグラー2人組 つぶつぶオレンジ を久しぶりに観ることができた。 初めて観たのは3〜4年前の新宿東口歩行者天国で、その後も2〜3回観たことある けれど、最初の頃より格段に巧くなった。火付きクラブのジャクリングも2人で 8本だし。若い吉本芸人風のところがあるせいか、若い人たちに人気があるようで、 追いかけているファン層もいるよう。なかなか凄い。そういえば、つぶつぶオレンジ のときではないが、3週間前に新宿東口商店街でみかけたジャグラーを客の中で みかけた。あのジャグラーが数年後には芸人として野毛に来るんだろうか、とか、 ふと思ってしまった。 1999/4/25 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕