『パリのインスピレーション ― 新世紀をつくる若いアーティストたち』 _Paris en Creation - Jeunes artistes du 21eme siecle_ http://www.muse.co.jp/paris/ Bunkamura Gallery, 渋谷区道玄坂2-24-1Bunkamura1F (渋谷), tel.03-2477-9174, http://www.nihon.or.jp/bunkamura/ 1999/4/28-5/11, 10:00-19:00 - Curator: 清水 敏男 - 天江 竜太 (Ryuta Amae), Michel Blazy, Jean-Baptiste Bruant, Claude Closky, Delphine Coindet, Didier Courbot, Jacob Cautel, Jason Karaindoros, Valerie Jouve, Stephane Magnin, Franck Scurti, 滝田 順 (Jun Takita) Paris を拠点に活動する30歳代の現代美術作家のショーケース的な展覧会。 去年の『眼と精神 ― フランスの現代美術』展 (群馬県立近代美術館, 98/8,9) に続いての展覧会もあって、今まで観る機会の少なかった若手の作家を観る ことができるのも「日本におけるフランス年」のおかげだろうか。しかし、 『眼と精神』展と出展作家に重なりが無く、知っている作家は Courbot のみ。 意外と層が厚いのだろうか。『眼と精神』展の方が Situationiste Internationale の影響を強く感じたので、若干年齢が上のような気がするが。 展示されていた Didier Courbot のビデオ作品は飛行中のジェット旅客機の翼を 客室の窓から捉えたもの。秋葉原TVでも一部上映されていたものだ。しかし、 ギャラリーの一角でヴィデオモニタで上映というのは、いささかつまらない かもしれない。gallery の前にある coffee lounge で使われているテーブル マットも Courbot のもので、快晴の空に浮かぶジェット旅客機の機影が小さ目に プリントされているというもの。それがけっこうデザイン的にセンス良い感じで、 ヴィデオ作品と繋がっていて、良かった。せっかくならば、ビデオ作品も、 coffee lounge の中で B.G.V. のように流しておけば、もっと良かったの ではないか、と感じた。ちなみに、Courbot による B.G.M. も流れているとの ことだったが、14時までということで、聴くことはできなかった。そういう 引っ掛かりが無ければ、文句無しに一番の作品だったと思うのだが。 他に気にいった作品は、Claude Closky, "Les Aoutiens" (1997-1998)。 ギャラリーの壁いっぱいに投影されたヴィデオ作品で、ファッション写真や タバコや酒のような嗜好品の広告にありがちな、人工的なまでに奇麗な夏の バカンス先での男女カップルの光景が、投影されている。ステロタイプな映像を ずらすような仕掛けが無い (少なくとも感じられない) のが物足りないけれど。 と、展覧会全体としてはそれほど強い印象が残らなかったけれど、映像をうまく 用いた作品が目立ったかな、と思った。そんな展覧会だった。 1999/4/29 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕