勅使河原 三郎 + KARAS『Absolute Zero』 世田谷パブリックシアター (三軒茶屋) 1999/6/26, 19:00 - 勅使河原 三郎 (構成,美術,照明,出演), 宮田 佳 (音楽,出演), etc 勅使河原 三郎の『Absolute Zero』の1999年版の公演6/26〜7/4に行われるので、 その初日に観に行った。勅使河原 三郎のダンス公演を観るのは初めて。 "舞踏詩"という謳い文句の"舞踏"のイメージや、絶対零度を意味するタイトルから、 "ミニマリズムの極北"的な禁欲的な舞台を予想していた。実際のところ、かなり 折衷的で"飾りっ気"のある舞台に感じた。といっても、装置で舞台を飾り立てたり、 凝った衣装で着飾ったという類のものではないのだが。 折衷主義的な印象を強く受けたのは、音楽の使い方かもしれない。基本的に イデオマティックなのだ。クラシカルな曲と techno 〜 breakbeats 的な曲を 使っているのだが、前者にしても調性的なものだし。後者にしても、これは Artificial Intelligence 風、これは Pan Sonic 風、これは minimal、これは drum'n'bass という感じで、音として特に何か一つの拘りがある感じではない。 DJ風の繋ぎでもなく、そういう意味では、シーンなどで音楽を使い分ける、 伝統的な付随音楽のやりかただった。それが悪いというわけでは無く、 それなりに巧く使い分けていたと思うけれど。 そんな音楽のせいか、勅使河原 三郎 と 宮田 佳 の動きも舞踏風だったり ダンス風だったり、という風に見えてしまったり。三部構成なのだが、各部の頭、 ダンスが始まる前に抽象的な実験映画風の映像が上映されるのも、飾りっ気に 感じてしまったり。 個人的には、クラシカルなピアノ独奏曲を背景に、始めは相互に独立した感じで 終わりはシンクロして、2人が舞踏風のゆっくりした動きをしつづけた第二部が、 淡々とした感じで気にいったが。全体もそのくらい淡々していても良かったかも しれない、と思ってしまった。 1999/6/26 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕