_Debris of Heaven_ 『天空の墓標』 原美術館, 1999/7/31, 20:30- - 松島 誠, 三浦 宏之, 中村 真咲, 小林 伸江, 菅谷 昌弘, 森脇 裕之, 佐々木 成明, 田中 真聡, タシブトフクシマ, 宮木 亜弥 パパ・タラフマラのメンバーからなるユニットによるダンス・シアターの公演が 原美術館の庭を使って行われたので、最後の回に観に行ってきた。都内でもなか なか無い狭いながらも緑の多い雰囲気の良い庭だし、どういうことになるの だろうか、という楽しみはあった。 客席は庭の方に設けられており、庭の展示棟と管理棟に囲まれた三角の部分と、 建物全体を舞台とするような構成になっていた。もっとハプニング的に、明確に 客席と舞台を区切らないようなやりかたでやるのかと思っていたこともあって、 少々意外だった。展示もあるので、制約もあるのだろうが。 正直に言って、ダンスという部分については、楽しめなかった。それほど「舞台」 が明るいわけでもないので、細かい動きが見てとれるというわけでもないし。 大道芸を見ていても思うのだけど、開かれた空間の場合、アクロバティックと 思うくらいの動きでないと目を惹かないように思う。 あと、客席から見て庭の奥に設定された円形のスクリーンに投影された映像が、 (音楽のせいもあるのだろうが) クラブのVJのセンスというか、そのイディオム から一歩も出ていないように思えたのが残念だった。投影された映像が庭に 面したカフェやホールの窓に映り込んで、いくつにも見えるようなところは とても面白かっただけに、それが残念だった。そう、音楽も、This Mortal Coil だったり、Crammed Discs の Made To Measure 〜 Freezone 的な感じだったり。 いや、そう言った音楽がDJ感覚で使われているのであれば、それはそれで良い ような気がするのだけれど、半端にオリジナルだったり。(著作権の問題もあるの だろうけれども。) と、物足りないところはあったけれど、戦前のモダンな洋館である原美術館の 建物が舞台になっているだけで、それなりに雰囲気があるし、それがいつもと 違うようにライティングされているだけでも、見ていて面白かったけれど。 建物の明りが消され、ライティングで青白く照らし出されたり。 特に、洋館の窓を影絵のスクリーンのように使ったり、増設された新しいカフェや ホールの大きな窓をショーウィンドー的につかったり、管理棟の屋上を使ったりと、 そういう所は、必ずしも演出に必然性は感じられなかったけど、「やってみたかった のだろうなぁ」というレベルで共感することはできたし。そういう点は楽しめる ところがあった。ま、それでいいのかもしれない。 ところで、近くのビルのネオンが見えないわけではないが、暗く沈んだ原美術館の 建物と庭、という状況で楽しめたと思うところもあるので、まだ日が暮れきらない 18時30分からの公演はどうしたのだろうか、と、ちょっと気になるところもあった。 1999/8/1 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕