『大林組東京本社アートプロジェクト』 東京都港区港南2-15-2品川インターシティB棟 (品川駅東口) tel.03-5769-1111 (総合番号案内), http://www.obayashi.co.jp/ 常設 - Ettore Spalletti, 草間 弥生, 福沢 エミ, Pascal Convert, Ingo Guenther, Francois Morellet, Langlands and Bell, 森 万里子, 須田 悦弘, 崔 正化, 西川 勝人, David Tremlett, Daniel Walravens, Giulio Paolini, Daniel Buren, 庄司 進, 流 政之, Peter Halley, etc 今年1月に完成した大林組東京本社ビルを舞台に行われた『大林組東京本社アート プロジェクト』の見学会が、原美術館の主催で行われたので、参加してきた。 このプロジェクトは 大林組設計本部 と 南條 史生 による構想で、パンフレットの acknowledgement からすると、磯崎 新、原 俊夫 (原美術館館長)、小池 一子 も 関係しているよう。 この見学会まで、いわゆるパブリック・アートと思っていたのだが、そうではなく、 作り込まれているのは、企業のオフィスや会議室などが中心であり (いわゆる コーポレート・アート) 、一般の人の目に触れるようなものではなかった。 ちなみに、月に2回、大林組主催の見学会 (要予約) が開催されているとのこと。 また、一般の人も入ることのできる3階ロビーには、このプロジェクトの プレゼンテーションを見ることのできる展示コーナーが作ってある。 全体的な感想としては、いわゆる壁掛け絵や置物、壁画や内装デザインを越える ものは無かった。特に、空間とアートの新しい関係を提示するようなブロジェクト というものではなく、今までなら古典の巨匠の絵や彫刻、壁画だったりした所に、 代わりに現代美術作品を置いてみました、というのにかなり近いものだった。 最も異化作用を感じられたのは、Ingo Guenther, _Choreography for 11 Sphere Chrography (Maquette 1:40,000,000)_ の廊下を使ったインスタレーション。 そこだけ暗くなっており、地球儀が浮かび上がっているからだ。 ただ、現代美術がこのような使われ方をされるのが、必ずしも悪いわけではなく、 もっと一般的に内装デザイン的に使われても良いのではないか、と僕は思う。 何かもっともらしいアートプロジェクトだなんて気取る必要もなく。確かにこの プロジェクトは大規模なのかもしれないが、単に内装デザインに現代美術を使った からといって、それだけでアートプロジェクトとして騒がれることの方が、 むしろ貧困なのかもしれない。 内装デザイン的に見た場合、Daniel Buren、Francois Morettet、Daniel Walravens らの作品は色調か鮮やかでポップながらも内装としてうまくまとまっており、 それだけ見ると、さすがにセンスが良いと思うところはあった。 しかし、これがアートなのか内装デザインなのかという問題とは関係なく、全体の 印象として、僕とは無縁なちょっと保守的なブルジョワ趣味 (僕にとっては悪趣味に 近いのだ。) というかそういうものを感じるところもあった。建物のせいもあるの かもしれないし、主に役員の使う応接室などが中心ということもあるかもしれないが。 そういう趣味の違いのせいか、観ていても特にぐっとくるようなものが無かったのが、 このプロジェクトを見学していて一番残念なことだった。 1999/10/02 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕