風煉ダンス with 渋さ知らズ『悪漢』 横浜みなとみらい21地区特設野外ステージ (桜木町) 1999/10/11, 19:00-21:30 - http://www.furen-dance.com/ 『横濱ジャズプロムナード1999』の中の企画として、また、横浜港開港140周年 を記念して開催さえた野外劇。毎年観に行っている『横濱ジャズプロムナード』の ジャズのライヴと併せてチケットを入手することができたので、楽日に観に行った。 場面場面では面白いところが多かっただけに、「物語」のことを忘れて逸脱して 欲しかった、というのが正直な感想。そういう意味では、観ていて不完全燃焼。 扇型に広がるように組まれた桟敷席に、要の位置に盛り土状の舞台。舞台を囲む ように水のはられた堀がめぐり、後方に可動式の城。舞台の左手に、バンドの 演奏ステージが設けられていた。 その演奏ステージから、音楽を担当した free jazz band である 渋さ知らズ が ほとんど出てこなかったのが、最も残念だった。どうも、劇の伴奏に徹し過ぎて いたように思う。例えば、殺陣のシーンとかで Gypsy brass band のような曲を 演奏したりした時に、管楽器隊が狂言回し的舞台や客席を練り歩くとか、 そういうことをやるかと期待していたところもあったのだが。特に、 『横濱ジャズプロムナード』の企画の中の一つだけだっただけに、もっと、 渋さ知らズ が活躍すると思っていただけに。 実際のところ、戦国時代が舞台であるとか、姫の争奪戦だとか、そういう話が、 この見せ物でそれほど重要なことだとは思わなかったし、そんなところを深めても 仕方ないと思う。それだけに。ドタバタ的な場面でもっと「物語」のことを忘れて 吹っ切れて欲しかったような気がした。舞台を囲んだ堀も、派手に使ったのは 殺陣での水の掛け程度で、ほとんど入退場路的な使われ方しかされていなかったし。 土蜘蛛兄弟の登場の際に使ったバイクのような乗り物も、もっと使って欲しかった 気もする。 楽日の公演ということで、舞台装置を壊してしまうような派手な逸脱もあるかも、 と、思っていたのだけど、それも無かった。ま、そういうことばかり期待するのは、 ちょっと邪道かもしれないが。 _ _ _ 今年の『横濱ジャズプロムナード1999』は、風煉ダンス with 渋さ知らズ『悪漢』の 他にも、ダンスラボ with 内橋 和久 というダンスらしき公演が9日の晩に ドックヤードで行われていた。そちらは、大道芸を観ながら傍目でライティングと 音をちょっと観た程度だったが。ダンスや演劇との共演のプログラムが目立ったのも、 今年の『横濱ジャズプロムナード』の良かった所ではないかと思う。来年以降も、 こういうプログラムを続けて欲しいと思う。 1999/10/11 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕