LaLaLa Human Steps, _Salt_ Bunkamura Orchard Hall 1999/12/3, 19:15-20:45 - Choreography: Edouard Lock. Dancers: Amy Brogan, Yvonne Cutaran, Mirko Hecktor, Lawrence Robson, Jason Shipley-Holmes, Stephanie Slater, Naomi Stikeman, Rick Gavin Tjia, Zofia Tujaka. Musicians: Anne-Marie Cassidy (cello), Jean-Claude Patry (electric guitar), Kong Kie Njo (piano). Musical Composition: David Lang, Kevin Shields. 超絶な動きのバレエ、というのが第一印象。それもロマンチックな。ちなみに、 LaLaLa Human Steps を観たのは初めて。去年、_Salt_ が日本初演されたときは、 Merce Cunningham の公演と日程的にほぼ重なったこともあって、パスしたのだ けれども。初演のときのプリンシパル・ダンサー Louise Lecavalier が抜けて いなくなってしまったのが、ちょっと残念だった。生で観たかった。 バレエ的に感じたのは、ポワントを多用した女性ダンサーの動きのせい、という こともあるのだが。比較的わかりやすいストーリーがあったことも、そう感じた 理由かもしれない。さらにそのストーリーが恋愛を思わせるものであり、ダンサーの 間に明確な男女の役割分担を振っていたのも、ちょと気になったかもしれない。 そういうイデオムをふっきるくらい抽象的な踊りを観たかった。その一方で、 ちょっと華に欠ける感じもしたのだが。やはり、Louise Lecavalier がいれば 違ったのかなぁ、と思ったが。そういう点では、いまいちの公演だった。 このような、バレエのイデオムや、ストーリーは、_Salt_ の演出なのか、 LaLaLa Human Steps の特徴なのか、よくわからないのだが。 女性ダンサーが激しいダンスを見せる一方、男性ダンサーはほとんどサポート役。 暗い舞台をピンスポットライトで丸く切り取った中で踊るため、あまり舞台広しと 動きまわるというより、一点でくるくるくねくね踊る、という感じだった。 舞台はモノクロームでミニマルな感じ。天井から飾りの幕が何枚か下がっているだけ。 ダンサーの衣装も黒。ピンスポットライトは白色で、それも、ダンサーの真上、 もしくは若干舞台後方から照らされるので、ダンサーの表情も把握しがたいときが あって、それが、妙に思わせぶりな雰囲気を出していた。 そういうピンスポットの中で、位置をほどんど動かさずに激しく体をしならせる 様子は、かなりエロティックな印象を与えるものだった。 音楽の作曲が David Lang (Bang On A Can) と Kevin Shields (My Bloody Valentine) だというのも気になっていたのだけど、音はあくまでダンスの伴奏に徹したもので、 凄いというほどのものではなかった。こういう舞台では、歪んだギターの音も ロマンチックなものだ。piano / cello / electric guitar は生演奏だったけれど、 音がいまいち良く無かったのは、会場のせいもあるかもしれない。 Orchard Hall の一階席は音が悪い、ということで僕は二階席を選んだのだけれど、 ピンスポットライトを使って舞台を丸く切り出すような演出を楽しむという点でも 成功だったかもしれない。これで舞台が近かったら、もっと良かったのだけれど。 あまり、この演目に合ったハコじゃないと思った。どうして、初演をした彩の国 芸術劇場で、この日本再公演の最後の公演をしなかったのだろう、と思った。 1999/12/4 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕