Survival Research Laboratories 『考え深い関係: 病的な娯楽についての気まぐれな計算』 _Thoughtfully Regards: The Arbitrary Calculation of Pathological Amusement_ 国立代々木競技場オリンピックプラザ (原宿) 1999/12/23, 18:30-20:00 - Directed by Mark Pauline. しょぼかった、というのが第一印象。いささか間延びしたパフォーマンスだった。 Mark Pauline 率いる Survival Research Laboratories (SRL) を僕が知ったのは 1980年代末くらいだったと思うのだが、ちゃんとした形で来日することは無く、 ある意味で伝説的な存在だった。その、火薬や火炎放射器を使いマシンを壊していく、 というパフォーマンスは、一度は生で観たいと思っていた。そんなことで期待過剰 になっていたのかもしれないが。もしくは、僕の方が1990年代に感覚的な面で インフレを起こしてしまい、しょぼく感じるようになってしまっているのかも しれない。 会場が非常に混雑しており、客席の設営が悪いということもあるのだが、ほとんど 人垣の頭越しに覗き観るという状況で、それほどよく見えなかった。しかしだ。 例えば、大道芸など、人垣の頭越しに観る、というのは、よくあることだ。 それでも、芸人は客を引き付けているのだ。今回のイヴェントにしても、主催の ICCも「サーカス」というコピーを打っているくらいで、マシンを使った大道芸、 という面もあったと思うし、そういう点で、僕は人垣は覚悟していたところもある。 その上でダメだと僕は思うのだ。 爆音や炎がしょぼいのは、消防法による規制のせいもあるのかもしれない。入場前に 耳栓が配られたのだが、する必要は全く無かった。それも残念だったし、もちろん、 腹に響くような爆音があったらとは思った。しかし、大道芸における火や派手な音を 使ったパフォーマンスを観ていてもそうだが、爆音や炎を使えば良いという問題 ではなく、使うときには、客との駆け引きとかから生まれるタイミングが重要に なっている。花火大会における打ち上げ花火ですら、盛り上げるために様々な花火が プログラムされているのだ。それに比べて、この SRL のパフォーマンスはメリハリが 無く間延びしていた。そういう意味では、こういうパフォーマンスは、もっと ゆったりした状況でビールを呷りながら観る、とか、ビデオ撮影して編集したもの を観るというくらいで、ちょうどいいのかもしれない。まあ、爆音と共に何かが シュルシュルという音を立てて頭上を飛んでいったことが何回かあったのだけど、 それが、今回生で体験していて最も面白かったことかもしれない。 巨大なトランプで作られた城とか、サーカス的なイメージを意識したのかとも思うが、 それにしては、ボスキャラが中途半端なダサさだったのも残念。もっと道化的な ファニーさを出しても良かったのではないかと思う。 1999/12/23 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕