『日本ゼロ年』_Ground Zero Japan_ 水戸芸術館現代美術ギャラリー, 水戸市五軒町1-6-8, 029-227-8120, http://www.arttowermito.or.jp/. 1999/11/20-2000/1/23 (月休;12/27-1/3休;1/10開;1/11休), 9:30-18:30 - 企画: 椹木 野衣. 会田 誠, 飴屋 法水, 大竹 伸朗, 岡本 太郎, 小谷 元彦, でき やよい, 東松 照明, 成田 亨, 村上 隆, ヤノベケンジ, 横尾 忠則. 今年、美術展を観ていて、日本の戦後の美術史を意識したようなイベント的な 展覧会が目立つような思われて、それが気になっている。興味深いというより、 否定的な意味で。この手の企画のつまらなさは何だろう、という感じなのだが。 そして、それらの企画の向こうに見え隠れするよう思われるのは、1996〜7年に 『美術手帖』誌に連載され、去年、単行本化された 椹木 野衣『日本・現代・美術』 (新潮社, ISBN4-10-421401-9, 1998) だ。 ある意味で、この展覧会は、そういった一連の企画と共通するものがある。 展示の最後となる、飴屋 法水 の美術館との契約のためのやりとりのファックス を展示したものを観ると、いきなり、もうどうでもいいような気がしてくる。 テクノクラート とは全く異なったテイスト、ということだが、これなら、 昔の方が面白かったように思う。 現代美術のリセットを謳うパンフレットなどの文章は、結局のところ、 「美術は死んだ」みたいなのと同様のロマンチックなもので、「どうでもいい」 感を煽るものではあるのだけど。展示を観ていると、ま、以前から、椹木 野衣 ってこういうテイストが好きだったよなー、とでもいう感じ。企画上の思惑は 別にして、楽しめる作品もあった。 個人的には、以前から乗ってみたいと思っていたので、『アトム・カー』を はじめ、ヤノベケンジの作品に乗ったりすることができたのが、よかった。 何か凄い体験ができた、というより、こんなものか、というのが確かめられた という感じだが。オモチャっぽい感じは嫌いじゃない。 成田 亨 の一連の「ウルトラ怪獣」のデザイン原画は、観ていて面白かったが。 パンフレットの文章の向こうに透けて見えなくもない、正統性の歴史の新たな 捏造を思うと、別にわざわざこういう文脈に回収しなくてもいいじゃないか、 とか、思ってしまうのだけど。 1999/12/26 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕