久持良餅 : 昔、狩りや戦いに出かける時の携帯食として、「久しく持ち歩いても良い(変質しない)餅」として農民から武士にいたるまで広く愛され、塩や味噌、醤油で味付けし、固くなると焼いて食べていました。今でも最上、山村地方では桃の節句には米を粉にし、めいめいの農家でくぢら餅を作り、各家の味自慢をし合うという東北の庶民の味です。
また、くぢら餅が珍重された塩鯨の切り身に色合いや形が似ていたからとする説もあります。
外郎やゆべしに似ていますが、外郎は原料が「うるち米粉」、ゆべしは「もち米粉」を使い、くじら餅は「うるち米粉」と「もち米粉」の両方を使い、黒砂糖と醤油(または味噌や塩)で味をつけ、胡桃をいれて蒸し上げています。甘すぎず塩加減がちょうど良く、甘い物が苦手な人にも好まれます。昔ながらの素朴で飽きのこない逸品でした。
民田なす : 芭蕉の句「めずらしや 山を出で羽の 初なすび」に詠まれた初茄子がこの「民田なす」です。一口で食べられる大きさで歯ごたえがよく、浅漬けや辛子漬けなど漬物に利用されます。京都から下ってきた宮大工が、京の一口なすの種をこの辺りに蒔いたのがはじまりといわれています。ピリリとくる辛味と程良い甘み、コリコリした食感の民田なすの辛子漬け、本当に美味しいですよ。 |