6月24日 曇り

  私にとっては「民主主義」の基本だ、とか、国民の義務だ、権利だとかはもはや関係
なく、単なる「意地」の問題となっていた。

 9時00分
  起床。実際には「アギト」や「おじゃ魔女」を寝ころんでみていたのだが、文字通り
床から起きたのがこの時間だ。本日は「トロンプロジェクト」関係の有志の集まりが川
口である。その前に、都議会議員の選挙があるのでそれを済ませねば、と思いつつ朝食
を摂る。「トロン」については詳しくは触れないが、興味のある方はこちらをみていた
だきたい。
  月に1〜2回有志によるミーティングがあるのだが、私は仕事の都合や「撮影」などの
ためここ数回欠席していた。「ぜひ、行かねば」というちょっとした自責の念があった
のも確かだ。あとで思えば、これが今日の顛末の遠因であったろうか。

10時30分
  12時に川口駅での待ち合わせだ。投票に行く時間も含めて、電車の所要時間からして
今からなら十分間に合うはずだ。さて留守録の準備もできたので出かけようとした時、
PHS がなった。会社からだった。「なんだろう? 」いやな予感がしつつ出る。的中だ。
顧客のシステムでトラブルがあったようだ。クライアントPCがサーバーと繋がらないら
しい。ISDN経由なので、また回線トラブルに違いないと判断して、指示をだす。「こん
な時に」と思いつつ、電話口で説明すること15分。顧客から電話を受けた当人は、どう
にか理解できたようで対応方法を連絡してもらうことになった。お蔭で予定していた電
車には乗れなくなった。投票する時間も無い。仕方なく、投票は帰ってからとして、と
にかく待ち合わせには遅れないよう、川口へと急いだのだった。

18時00分
  本日のミーティングが無事終了。サーバーの設定作業も順調だ。MailサーバーとDNS 
が動きだした。まずまずの成果だ。メンバーが全員揃うのも久しぶりなので、ちょっと
軽く飲もう、という流れに。私も「ま、1時間以内なら」と気軽にOKした。
  川口駅近くのお好み焼き屋にはいることに。こういう店なら早く終わるだろう、とい
う判断だったのだが、それが大きな間違いだった。
  30分たっても注文した品は1品しかこない。それほど繁盛しているようにも見えない
のに、この遅さはなんだ。私はイライラしてきた。とろとろしている従業員のおばはん
を捕まえて矢のような催促をしてようやっと残りの分がくる。この時点で6時45分。あと
15分でかたづければ、なんとか投票には間に合う。そう思いながら超特急で残りのお好
み焼きを私が仕切って全部焼きあげる。7時5分。予定より5分オーバーだ。自分の支払い
をやや、多めに出して挨拶もそこそこに駅へ向かう。とにかくダッシュ、といいたいと
ころだが,すきっ腹にビールが効いて足取りは実に怪しい。どうにか駅へ着いて時刻表と
照らし合わせる。すると、今の予想では自宅の駅の到着はなんと7時58分。駅から投票所
までは徒歩5分。走ればなんとか間に合うかどうかと言う状況だ。「オーマイガッ」自ら
の不明を呪うとともに、朝からのトラブルが一瞬頭を過り、後悔の念が押し寄せた。

19時58分
  なんとか、電車は時刻とおり着いた。後は改札を通って投票所の中学校まで行くだけだ。
が、ここでも私の行く手を邪魔するものが。道路工事だ。いつも通る投票所までの道の途
中が水道工事のようだった。もう、自分の運命を呪うしかない。迂回しつつ、猛ダッシュ
する。ここまでくると投票所へ向かう事は,私にとって「民主主義」の基本だ、とか国民
の義務だ、権利だとかはもはや関係なく、単なる「意地」の問題となっていた。

20時  分
  着いた。だが…。奮闘虚しく、すでに投票は終了していた。8時2分。当然といえば当然
だ。投票所である体育館まえまで息をきらしながら、トボトボと歩く。すでに選管の方々
があと片づけに入っていた。もう、なにもかんがえられない。ただ、汗まみれのシャツが
まとわりつくのが気持ち悪いとしか思っていなかった。
  中学校の入り口まで戻ると「足立区 第XX投票所」の立て看板があった。ふと胸ポケッ
トをさぐると投票の入場整理券が手に触れた。「ふん」軽く苦笑すると、看板の画鋲を
1つはずす。そして、立て看板の真ん中あたりに整理券を画鋲とめする自分がそこにいた
のだった…。

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