10月11日 晴れ

  昨日の夜中の第一報があちこちに衝撃を与えている様子。鶴岡さんとこもこの話題で
にわかに騒がしくなる。
  
  市井紗耶香が芸能界へ復帰する。そのニュースが飛びこんできた時、嬉しい気持ち半分
本当か? という疑念が半分という感じだった。

  紗耶香は私にとって、娘。に関わる人間の中で、3番目の「きっかけ」となった人間だ。
1番目。福田明日香は「モーニング娘。」を知ろうと思うきっかけを作ってくれた。
2番目。安倍なつみは「モーニング娘。」に全面的にコミットしていくフックとなった。
そして、3番目市井紗耶香。彼女により私自身がより、娘。への関係がより深化していく
こととなったのだ。早い話が、「モーオタ」として自意識に目覚めたということだ。かつ
それを意識して行動することになるきっかけを与えてくれたのである。

  ちょうど後藤真希が加入してラブマシーンが大ヒットして、娘。そのものも上り坂であ
ったころ、紗耶香はめきめきと自分の魅力を開花させていった。それに引きずられるよう
に私も娘。たちをより深く見つめていくこととなった。このときすでに私自身気づかずに
市井紗耶香に引かれていたようだ。
  しかし、それから半年もせずに彼女は娘。から卒業を宣言してしまう。私自身はLiveの
彼女の姿を見ることもなく、紗耶香は2000年5月21日、日本武道館のコンサートを最後に
「必ずもどってくる」という約束を残して、ふっつりと私たちのまえから消えてしまった。
  その時、私は新聞発表を見た後、呆然として 1週間を過ごすこととなった。はっきりい
ってショックだった。武道館のコンサートに緒事情で行けなかったことも大きかった。こ
のことがオタとしての自覚の始まりだったわけだ。

  さてその後、風の便りにさまざまな噂は流れてきた。だが、どの噂も彼女がもどってく
るというには、頼り無いものばかりで、有力なものは一つとしてなかった。
  それが、多少変化したのが今年7月。9月復帰説が突然流布し始めた。それに合わせるか
のようにBUBKA 8月号では、EE Jumpのユウキ、というより後藤真希の弟、というほうが
通りがいいか、とのデート写真(?)とおぼしきものが掲載される。が、それも結局は確実
な情報ではなかった。またも空振りであった。(今思えば、今回の知らせと関連はあった
のだろう)
  そんななか、今回の復帰の知らせである。最初は「またか」という雰囲気であったが、
ネットでその情報があがってまもなく、単なるガセではなく、アルバムも出して(といっ
ても単独ではないが)ライブも予定されているとのことが公式に発表された。正直、ほっ
とすると同時に、別の不安が頭をもたげてきた。
  このニュースが流れた時、市井ファンの対応が大きく、極端に分かれていたように思う。
全面的に肯定して、というか、嬉しさのあまり舞い上がってしまっている人もいれば、否
定的とまでは言わないが、かなり冷静な人たちもいて「大丈夫だろうか」と不安を隠さず
にはいられない人も多かった。私もそのひとりだった。

  その一つの要因は、紗耶香本人のソロのシンガーソングライターとして戻ってくるとい
う約束が未だ果たせていない、ということだ。シャ乱Q のたいせーとのユニットというこ
ともその一つだろう。なにせ、はたけ、まことという前例がある。心配せずにはいられま
い。
  もう一つは、市井ファンたちの妄想とのギャップが怖い、ということだ。純粋に美化さ
れた思い出のなかにいる市井紗耶香。シンガーソングライターとしてソロのパフォーマン
スを余すところなく披露する彼女の雄姿。おそらく彼らの頭の中にはそんな姿があるはず
だ。ところが、おそらくは現実はそのようにはいっていない。紗耶香本人も「一人では無
理だった」とのコメントもだしている。これまでの 1年半。思い通りにいかない状況、自
分に対して、苛立ちのようなものにさいなまれたに違いない(想像ですが)。娘。を卒業し
た時には「全能感」で満ちあふれ、きっとなんでもできるような錯覚が彼女を支配してい
たのだろう。しかし、いざ娘。を離れて一人で活動を始めて理想と現実の大きい溝を実感
したのではないだろうか。わずか16歳。音楽教育も今まであまりやってない、英語だって
簡単にしゃべれるようにはならない。ドリカムの吉田美和さんに憧れているとしても、
そうそう簡単にはなれる訳がない。そして、味わう挫折感。苦渋に満ちた日々が続いた
ことだろう。(私の妄想です。ほんとのところは順調だったかもしれない)

  そこへ今回の唐突ともいうべき復活のニュースである。そこにどういう思惑、業界の
力学が働いたかのかは判らない。紗耶香本人が100% 望んでの今回の復活劇だったのか、
という思いは残る。本当に今後も活動が(消えずに)出来るのか。そして、ほかならぬフ
ァンは彼女を失望せずに受け入れていくのだろうか? 不確定要素は多い。かなりネガティ
ブな気分になってしまった。でも、心配はいらない。ちゃんと、いくつかの道筋はあるは
ずだ。
  ひとつの方策は、そのまま、今の自分をさらけ出すことだろう。変にカッコつけず、
満足に楽器も出来ない(できるかもしれないけど)、譜面も読めない、歌もそんなに上達し
てない。ひとりじゃなにもできない自分。それらを丸ごとみせてほしい。全部がうまくい
かなくてジタバタしてる「カッコ悪い」紗耶香を、ファンにありのまま、すべてぶつけて
みればいい。そういう姿にこそ、娘。のファンたちは共感をもってきたはずなのだ。もち
ろん紗耶香のファンたちだってそうに違いない。これで去っていくファンはそれまでのこ
とだと思うしかない。きっと多くのファンは、「カッコ悪く」ても、ここからもう一度ス
タートしようとした紗耶香を応援していくに違いない。もちろん、私もだ。

  願わくは、市井紗耶香の前途に幸多くあらんことを。

  
追記(10月21日)
  
  ハロー。モーニングを見ていて、唐突に市井紗耶香が出てきた。全く予期してなかった
ことで、思わずテレビの前で「ギャーーー」と叫んでしまった。動いてる紗耶香の姿をテ
レビとはいえ、目の当たりにして、ようやっと嬉しさをかみしめる事ができた。ああ、本
当に帰ってきたんだね。(しみじみ)

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