11月30日 はれ

  劇団四季ミュージカル「異国の丘」を観劇。四季のオリジナルミュージカルであるが、
扱っている題材が難しいものであり、果たしてミュージカルとして成立しうるのか、実際
に見るまでは不安であった。なにしろ、盧溝橋事件から始まり、第2次世界大戦を経てシ
ベリア抑留に至るまでの物語である。へたをすれば、政治色の強い、エンタテイメント性
にかけたものにはなりはしないか。恐れてはいたが、結論をいえば、まったくの杞憂であ
った。
  主人公は時の首相の息子「九重秀隆」。演ずるは四季のいまや看板役者、石丸幹二。そ
して秀隆と道ならぬ恋に落ちる女性、宋愛玲にこれまたトップ女優、保坂知寿。この二人
の悲恋を縦軸に、シベリアに抑留され強制労働を強いられる秀隆の回想で舞台は進行する。
  正直なはなし、物語、そして抑留の描写の凄さに圧倒された。演出も初演にしてはかな
りの完成度であり、2時間30分という長丁場を飽きさせず、舞台に客を引き止め続ける力
を感ぜざるをえなかった。
  主役二人も素晴らしく、石丸は特に立ち姿が美しく、ピッと筋の通った動作が実に気持
ちよかった。保坂は、昨年見た舞台ではだいぶん声の調子が悪く、心配していたが、この
舞台では完全復調。台詞も歌も声の張り伸びともに素晴らしく、「保坂節」が充分に堪能
できた。嬉しいかぎりである。
  こういう難しい題材を、四季のもてる技術と演出力をもって一級のエンタテイメントに
仕上げたことには正直感服せざるを得ない。それも、これまで積み上げてきた蓄積があっ
たればこそであろう。機会があれば、ぜひ見てみてほしい作品だ。

  10時ころ帰宅。友達からのメールをみて、どうやら大変な事態が発生したことを知る。
  
  皇太子妃ご出産のため「入院」ということでテレビラヂオは大騒ぎ。この余波で日テレ
FUN が延期に。タンポポとプッチモニ。が出るというときになんてバッドタイミング。そ
れにしても、まだ生まれてもいないのに、この騒ぎは一体なんなんだ。もしかして、ご出
産、というニュースが何らかの手違いで流れて、結局「入院」と判ったのだけど引っ込み
がつかなくなったんではないかね。ま、ご出産そのものは本当におめでたいことなので、
別にそれを緊急報道するのはまったく問題ないと思うけど、「入院」だけでこれほど騒ぎ
たてることはあるまいに。まったくもう。

チャットでもそのことを愚痴って、就寝。

  
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