5月6日(月)

  連休最後の日。珍しく、というか、初めてコンサートを一日二公演梯子することに。別
に狙っていたわけではなく、成り行きでそのようになってしまったのである。しかも、横
浜から赤坂への移動時間が一時間30分しかないという強行スケジュール。もちろん、行け
ないわけではないが、赤坂がライブハウス(赤坂BLITZ) なので、いい場所を確保するには
早めに到着しているに越したことはない。

  さて、ともかくも、パシフィコ横浜の大ホールへと向かう。第一ラウンドは松浦亜弥の
ファーストコンサート「ファースト・デート」だ。実は、一年程前、この同じ横浜桜木町
において、松浦のイベントがあったのだ。デビュー曲「ドッキドキ! LOVEメール」発売記
念の握手会だったのだが、私も暇にあかして、というか、松浦亜弥をちょうど4月の娘。
コンサートで初めて見て、興味があったので握手券も持っていないのに、わざわざやって
きたわけだった。その時は大体数百人規模だったと思うのだが、わずか一年でここまで大
きくなるとは、予感や希望はある程度あったにせよ、実際、ソロでコンサートを開くよう
になったのを目の当たりにすると、思わずジンとなってしまうのも確かだ。そんなことを
会場へ向かう道すがらつらつらと思う。
  会場に到着するとちょうど開場したところらしく、入場の列が会場のまわりを取り囲ん
でいた。オタさんたちの熱気がムンムンして鬱陶しいくらい伝わってくる。もちろん、自
分も同じなわけだが。会場入りして、うたかさんとばったり会う。例の顔文字アタマの実
物を初めて拝む。やっぱカリスマモーオタですね(笑)
  開幕。桃色片想い。生で見るあややはやはり可愛らしい。しかも、どの曲も完璧に歌い
こんでいく。観客を掴んで離さない。ゲストの平家みちよとの掛け合いも堂に入ったもの
である。一年前に聴いた「ドッキドキ! LOVEメール」を再びこうして聞いていると、何だ
か自分の娘の成長を見ているような変な錯覚に陥る。別に深い意味はありませんので。念
のため。それはともかく、ステージが進行するにつれ、何か自分の中で「違和感」のよう
なものがジワリと沸いてくるのを感じていた。それが何なのか、自分でも判らずに舞台で
の松浦のアクトを見つめていた。別に歌やMCがダメだとか、そういうことでなく、何かが
違う、と心の奥で引っかかるものがあったということだ。その「違和感」の正体が判った
のが、メロン記念日が登場した時だ。平家と松浦合わせて6人での「チュッ夏パーティ」、
通称六人祭の盛り上がりと、それに続くメロンの「THIS IS 運命」「さぁ恋人になろう」
を観客の熱狂の中で聴いて、はっきりと判ったのだ。「ああ。私はメロンが好きなんだ
な」と。
  その時に思った。松浦はA級であって、対してメロン記念日はB級なのだと。ここでいう
A級B級は優劣のことではない。前者は「純粋な」あるいは「正統的」後者は「雑多な」あ
るいは「変革的」という意味である。その意味ではモーニング娘。も立派なB級だ。結局、
私は「雑多な」B級が好みである、ということが改めて自分でも判ったわけだ。一応、断
っておくが、別に松浦が好きでない、とかそういうことではない。松浦はかなり好きだし、
CDだって全部買っている。コンサートとしての「乗り」は私の肌に少し合わなかった、と
いうだけのことだ。であるからして、今後ともあややは応援し続けることになるのは間違
いないだろう。
  ともかくも、最後のMCを間違えてやり直しをする松浦を見届けて、次なるコンサートへ
と向かうのでありました。

  正直、松浦のコンサートでかなり疲れていた。それに、市井紗耶香のコンサートといっ
ても、持ち歌はたったの2曲である。いったいどうするつもりなのか、この時点では皆目
検討がつかなかった。「大丈夫だろうか」というのがこの時の偽らざる想いだった。見に
行って、とんでもない状況になりはしないかなどと要らぬ心配をして、一時は「帰ってし
まおうか」とも思った。が、これは全くの杞憂であったことが後に判る。
  やや、気乗りしないまま、赤坂BLITZ へ到着。隣は昨年「フットルース」を見た赤坂ミ
ュジカルシアターである。会場で、T田さんとばったり会う。例によってオタ話を少々。
後10分足らずで開演なので、そそくさとトイレなど所要を済ます。そして、一抹の不安を
残したまま、ライブはスタートしたのだが…。
  結論。とても楽しいライブだった。始まりはシングル「人生がもう始まっている」から。
ギターの吉澤は「うたばん」で付けられたあだ名「ウィラポン」がすでに定着して観客と
も打ち解けた雰囲気で進行。当然、市井ちゃんも活き活きと、ライブを楽しんでいるのが
伝わってくる。たいせーは…、まぁ、別にどうでもいいや(笑)歌った曲も、持ち唄が少な
いことを逆手にとって、カバー曲だけでコンサートを構成。松田聖子から、森高千里、マ
ドンナを英語でうたったり、サザンのナンバー、サディスティックミカバンドまで飛び出
す始末。いいとこ取りで会場も沸き上がる。そして、極めつけは「モーニング娘。」のメ
ドレーだ。当然、市井ちゃんが在籍していた時のナンバーだが、会場も思いもよらぬ大
サービスに一気にヒートアップ。私も、先程までの疲れもものともせず、拳をふり上げて
声援を送っていたりする。現金なものだ。考えてみると私は市井ちゃんが娘。としてコン
サートなどで歌っているところを生で見たことがない。そういう意味でも、今回のライブ
は嬉しいプレゼントだった。ちょっことloveや、真夏の光線が市井ちゃんの声で聴けると
いうのは、失われた過去を取り戻したようなお得の気分であったし、なにより、娘。を卒
業して、吹っ切れている様子が清々しい市井ちゃんが印象的だった。
  実のところ、あるテレビ番組の取材のなかで、たいせーは市井ちゃんに「モーニング
娘。」としての過去は捨てるように。と厳命していた。それなのにライブで娘。メドレー
とは何事か。と怒る向きもあるかと思う。その気持ちも理解はするが、私は逆に頼もしい
なーと感じた次第。市井ちゃんが娘。であった過去に頼ってはいけないっていうのは正論
だし、当然そうあるべきだと思う。でもそれは「精神的に」であって、別に歌を歌っては
いけないってことだとは思わない。いい歌であれば、あるいはコンサートが盛り上がるた
めであれば、利用できるものは何でも利用してやれー、というある種の図々しさというか、
逞しさや心意気をそこには感じた次第。もっとも、これはそんなに使える手ではないと思
いますけどね。注意して使えば、いい武器になると思いますから、私としては全面的に賛
成です。今後も1,2曲は市井ちゃんのライブに娘。の歌があってもいいと思いますね。

  結局、2時間あまり、入場前の不安はどこへやら。たっぷりと汗をかいて燃え尽きてし
まいました。良かったです、ほんとに。市井ちゃんの再スタートとしても、次に繋がるい
い結果がでていると思う。ぜひ、次のライブも楽しませてもらいたい。ちなみに、先程の
A級B級でいえば、私にとって市井ちゃんはやっぱりB級ですね(笑)

  会場外へ出るとまたも、T田さんとばったり会う。電話中だったので、軽く会釈してそ
の場は別れる。

  11時ころ帰宅。怒濤の連休は終わり、チャットしながら明日以降のことを考える。12時
ころ心地よい疲労感と満足感のなか就寝。

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