2月 9日(日) 曇り

  朝。7時30分ころ起きて、部屋の全員でハリケンジャーの最終回を鑑賞。極めてオーソ
ドックスなラスト。いま一つ燃え上がりに欠けるとは思ったが、順当なところか。
  続いて、555 はまだまだ、か。さすがに見せ方は4作も作っていればうまくなっている
が、お話の展開はこれからという感じ。

  ひとしきり見終わって、S井さんとI矢さんは朝風呂。私とFKJ さんは荷物の片づけ。10
時チェックアウト。ロッジのロビーに集合。唐沢さんから、今日のハリケンジャー最終回
どうだった、と尋ねられる。「極めてオーソドックスな終わり方でした」と見たままを報
告。それで納得した模様。これだけで理解できるというのも、非常に判り易い作品だった
ということか。
  11時から、近くの回転寿司で朝昼兼用食事をする予定だが、まだ1時間もあるので、ロ
ッジ内の喫茶店でお茶。能登半島の観光ガイドなども、いまさら眺めて30分程度。川魚の
ゴリの天ぷらがうまそう、などと早くも食談義。このゴリというさかなは、川底をゴリゴ
リとやって獲ることから来た名前らしい。普通の川魚同様、から揚げや甘露煮にするとお
いしいらしい。

  10時50分に集合。回転寿司「アトムボーイ」に。11時開店で、25人もの大人数が一度に
来たもので、店員さんは大騒ぎ。あらかじめ予約というか、確認の電話を入れておいたら
しいのだが、ケンもほろろにあしらわれたらしい。本気にしていなかったようだが、横柄
な態度の報いである。別のお客から持ち帰りできるか、という電話が入ったようで「とん
でもない、出来ない出来ない!!」と店長らしき人が絶叫。心の中でお気の毒に、という思
いと、それみたことか、という思いが同居。
  板前を 4人の増強して寿司が回り始める。最初は、ブリから。一通り回ってタイ、ウニ、
イカ、なっとう巻など次々。どれもネタが新鮮ということもあって回転寿司と私は朝飯を
食べていないので、たくさん食べたいのだが、夜のことを考えて、ほどほどに。ほかの
テーブルの人たちは、高々と皿を積み上げて、その頂上に茶碗蒸しのを乗せて、まさにバ
ベルの塔のごとし。

  12時すぎに寿司屋を出て、「金沢残留組」と、わたしたち「さんなみ組」に分かれる。
さんなみ組は金沢駅へ集合。中央改札口に揃った面子はなかなか壮観。ところが、樋口監
督がまだ現れない。携帯に電話かけるもなかなか捕まらず。心配する幹事SKさんのことを
知ってか知らずか、ようやく現れて「朝まで飲んでました」とのこと。しかも、「ひとつ
ゼロが違う酒」と。これには一同苦笑しつつ。
  まだ出発の列車には時間があるので、お土産を買ったりして時間潰しを。私たちは駅の
お土産売り場を散策。日本酒の自動販売機なるものも発見。コップをセットして、35ccの
お酒を注いでくれる。さすがに飲みはしなかったが、記念の写真を撮る。別行動をとって
いたSKさんたちとばったり。おいしいケーキ屋があるのでそこで一休みしませんか、とい
うお誘い。遠慮なくご一緒する。
  ひとしきりケーキを食べ終わって、SKさんが「これから、さんなみ到着まで一口も食べ
ないようにしてください」とのこと。だったら、ケーキなんか食べませんよ! もっと早く
言ってください(笑)。まぁ、それだけ美味であることと、量もかなり出るからだそうで。
しかも、今回は15000円コース(宿泊費込み)という一番いいコースでお願いしてあるらし
い。前回は13000円だそうで、K子先生が予約をした際に、このコースがあることを知って
15000円で頼みます、と。その時SKさんは「ほかの方はどうします?」と気を効かせていっ
たものの、K子先生は「全員15000円! 文句は言わせないわよ」と断言なさったそうな。い
やはや、なんとも(苦笑)
  
  時間になったので再び中央改札前。出発まで40分ほどあるが、予想通りというか、心配
した通り樋口監督現れず! SKさん大慌てで、携帯にかけるも、留守電状態。駅構内の呼び
出しをお願いしに走る。K子先生もイライラし始め、一気にその場の緊張感が高まる。と
書くとギスギスした雰囲気に思われるかもしれないが、みんなその雰囲気楽しんでいる風
情。「まぁ、なんとかなる」て感じだ。K子先生がいろいろカンシャクを起こすのも、あ
ったらあったで、ビクビクしてしまうが、ないならないで何か物足りないような…。ちょ
っとしたトラブル、アクシデントがあるとより思い出に残る、そんな感覚である。もっと
も、幹事であるSKさんは気が気でなかったことと思う。心労、いかばかりか。
  そんな緊張感があるような、マターリしたような不思議な空気のなか、開田さんが監督
に再び携帯にかけたところ、無事つながり、なんとか時間前に合流して出発と相成る。
  
  JRで和倉温泉までゴトゴト各駅停車で。特急もあるのだが、乗り換えの接続の関係で今
回は各駅とのこと。和倉温泉まで約2時間。ここからは、能登鉄道に乗り換え。能登湾に
沿って北上する。さらに1時間30分ほど。これだけ長く、しかもゆっくりと電車の旅とい
うのもたまにはいいものだ。天候も曇りがちではあるが、山や海の眺めはゆったりとして
心地よい。iPodを聞きながら、うつらうつらしたり。デジカメやビデオを持った人たちは
車窓の眺めを撮影。特に、先頭車両からトンネルをくぐるところは映像にした時の見栄え
がするので懸命に撮影している様子。
  
  そして、いよいよさんなみがある矢波(やなみ)駅に到着。いかにもひなびた田舎の駅。
そこに唐沢さんや、開田さんの、地元のファンだというTさんが出迎えに。自家用のワゴ
ンで、さんなみまで送ってくれる。もっとも、15人もいるので全員は乗れず、とはいえ、
歩いて5分程度の場所なので、私たちは徒歩にて。小高い丘に沿ってできた山道を登って
いくと、目の前が開けてくる。海が見える。そこの一角に民宿さんなみはあった。建物は
結構新しい。それでいし、落ち着いたたたずまい。まだ、敷地の一部はまだ工事中。唐沢
さんによると来る度に建物の一部が追加されたり、して常に変化しているとのこと。
  玄関入ると、旅館の女将さんがお出迎え。いかにも民宿のお母さん、といった風情。ご
主人も後からご挨拶。お世話になります。

  部屋へ荷物を運び、さっそくジャージに着替えてリラックス。玄関前のロビー(?)で唐
沢さん、開田さん、Tさん、S井さんらと談笑。その間、食堂では山鳥の解体作業。まず
は羽を全員で寄ってたかってむしり続ける。あやさんや、T矢さんらは嬉々として作業す
るものの、私はこういうのにはっきり言って弱い。あやさんが「おぼっちゃんはコワイの
〜? 」とからかっていたが、おぼっちゃんではないけど「苦手です」とはっきり言う。自
分の血を見るのは別にコワクないのだが、他人が出血していたり、痛そうにしているのを
見るのは耐えられない。それが動物でも同じなのだ。梨華っちが鳥が苦手、というのもな
んとなく、判ったような気もしたり。昆虫採集なんかは好きだったんですけどね。
  ま、そんな作業を横目で見てはいました。そして、みんな羽をむしられる哀れなトリさ
んを写真鳥まくり、じゃない撮りまくり。たぶん、写真は見ても大丈夫だと思うけどね
(笑)。
  またもロビーにてブラブラしていると、S井さんが能登在住のTさんに、と学会グッズ
を売り始める。なにしろ金沢の怪獣酒場での売り上げが芳しくなかったので、ここぞとば
かりに商売商売。トートバッグ、名刺入れ、そして開田さんデザインのオリジナルマウス
パッドを、通販番組よろしく紹介する。まわりも「お高いんですよね〜」とか合いの手を
入れてたり。まぁ、おかでげで無事購入いただいたのだが、あの場の雰囲気ではとても
「買わない」とはいえない状況であったことも事実。Tさんにはちょっとお気の毒でした。

  しばらくすると、念願のお食事タイムだ。囲炉裏を中央に配した、しゃれた、それでい
て落ち着いたテーブルに着いて、食事が始まるのを待つ。すでに何品かは配膳されており、
あじの丸干しと、海餅が囲炉裏にくべられており、香ばしいにおいが食欲をそそる。
  食前酒に、Tさんが差し入れで持ってきてくれた「竹葉」にごり酒を一杯。そして、い
よいよ今思い出しても口腔に、じわりとにじむ唾液がほどの、至福の味覚と狂乱の一夜が
始まった。

 まずは、つきだしの海草、じんばそう。神馬藻と書く様だ。さっぱりとして、プチッと
いう食感が心地よい。ちなみに、調べてみると、神馬藻とは,ホンダワラの若い芽をいう
とのこと。古名を莫告藻(ナノリソ・ひそかにという意味)といい、多くのロマンチック
な歌に登場しているそうな。以上ネットで検索した結果。
 実は、正直いって食事が始まる前は、移動時間が多かったせいか、少しぐったりして、
食欲も少し減退気味だったのだ。が、これを一口食して、さらに次にエビを食べるころに
はすっかりそんな気分もフッとんでいた。うまいものが人を元気にする、というのは本当
にあるのだなぁ、と我が身で実感する。
 甘エビ。ほんとに、食べたのか?というくらいあっさりと口の中で消えていく。うまい、
と味わう暇もないほど。
  刺身のブリ、そしてサザエ。サザエは壺焼きか、刺身にしてくれるとのこと。私のテー
ブルは全員刺身。(ちなみにメンバーはS井さん、 T矢さん、Oさん、S山さん、私の5
人。考えてみると5人ずつで3テーブルにうまく分かれていたわけだ)ブリは金沢市内で食
べたのとはまた、違って一段と鮮烈。あぶらの乗り具合もよく、さわやかだ。

 鯨の小腸。後で百尋(ひゃくひろ)という事を知る。この時はとにかく食べるのに精一
杯で名前まで気が回っていなかったというのが正直なところ。口に残る歯ごたえが珍味。
酒に合う。と、同じくTさんが差し入れの宗玄をいただきながら。
  貝焼き。なにより、野菜がうまい。エビとイカを貝を鍋代わりに焼くのだが、ダイコン
となすは生で食べても実にうまい。とくにダイコンのシャキッとした歯ごたえと、甘さは
Oさん曰く「梨を食べてるよう」とのこと。そこまでは言わずとも、このみずみずしさは
東京ではついぞ食べたことがない。おとうさんがいうには、収穫したてだからではないか、
とのこと。その通りだとは思うが、仮に関東近郊の農家でとれたてのダイコンを食べたら、
果たしてこれほどの滋味が味わえるか、疑問ではある。
  とうふ。トッピングされた緑はなにか、と思っていたら,蕗みそとのこと。あっさりと
して、これまた、つるっとお腹に入っていく。

  カニ。焼きガニと洗い。洗いは、カニの肉が、まるでフジの花のようにみごとに開く。
そう、花札の藤を想像してもらえればいい。なんというか、ほんとうに、一口でスルスル
といってしまう。もったいない、という思いはあれど、そんな悠長なことをいってられる
場合ではない。とにかく、胃袋が、五臓六腑が早くよこせ、と叫んでいるのだ。と、隣の
テーブルにいたK子先生が、自分のとこに洗いが来ていないので、一本頂戴、とやってく
る。思わず「うわーっ、待って、すぐそちらにも来ますから!」と必死に止める。普段だ
ったら、K子先生に言われれば一本くらい譲ってしまうものだが、この時ばかりは誰であ
れ、強気になるもの。もっとも,ちゃんとテーブル毎にあるのだから、そんなに慌てる必
要はなかったんですが。あの時は、お互いとても冷静ではいられなかったわけです。
  焼きカニ。とにかく、ミソが香ばしい。しっかりとしたカニ肉の歯ごたえと相まって文
字通りかぶりつく。もう、作法もへったくれもあったものではない。端から見てるとなに
をガッツいてるんだ、と思われるかもしれないが、何かの魔法にかかったとしか思えない。
空いた、かにの甲羅にさきほどの酒をそそいで、囲炉裏で燗をする。ほどよくアルコール
がとんだところで、レンゲで一口すする。カニミソの酒。う、まーい。もう、自分の背景
にドッパーンと津波がおしよせたような感動。まるでミスター味っこだ。唐沢さんや、あ
やさんも,それを味わいに。いやもう、みんなお行儀よく座ってなんかいない。うまいも
のある、と聞けば、そっちのテーブルにすわっと飛んでいく。

  そして、山鳥のトリシャブ。大皿に盛られた肉の色も鮮烈で、さらに食欲をそそる。K
子先生が大事そうに抱えて、それを各人に3切れずつ配給。それを鍋で、さっと湯通しし
て、はむはむと味わう。もはや、言葉もない。こんな贅沢をして、バチがあたりやしない
か、といささか余計な心配をする。しかし、この3切れなるが故に、その至福たるや筆舌
に尽くし難し。何を書いてるのか、自分でも判らなくなってきました(笑)

  締めは、あんこう鍋。さらに贅沢なことを。こんな贅沢をしてバチが(以下同文)。こ
こで私はもう、満足の極み。自分の席で、先程のカニミソを味わっていたり。が、ここで
バチが当たりました。それは隣のテーブルに出た、いわなの骨酒という美味を味わい損ね
たのです。気がついたら、すでに器は空。思いっきり、凹みました…。て、やっぱり贅沢
な悩みですか?

 とまあ、ここまで書いてはみたものの、私の筆力をもっては、とてもではないが、あの
興奮の思いは描ききれない。その万分の一でも伝われば幸いだ。もっと詳しくその様子を
知りたい人は、唐沢さんのHPをご覧あれ。私の数倍おもしろく書かれています。写真が
見たい人は開田さんのHPを。

 11時。就寝。一応、裕ちゃんのラジオを聞こうと、携帯ラジオを取り出してみると、見
事にニッポン放送1242が入るではないか。が、ふとんに入って、オープニングトークから、
ゲストのバクチク(どういう表記だっけ?)が登場するあたりで、記憶がなくなっていた。
いつのまにかダウン。そのまま朝まで、ぐっすりと。


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