仲の湯


(東京型に近い)

aqua.gif (191 バイト) 場所 JR日立駅 徒歩1分

意外なところにいい銭湯。

茨城県は本当に銭湯が少ない。なにしろ県庁所在地にないんだもんなあ。っつーわけで石岡へ。石岡っつーてもどこにあるか分かる人は少ないだろうなあ、あっしも銭湯にでも行かなければ一生この駅で降りることもなかっただろう。

駅を降りて、駅前の地図をチェック。この町も典型的な田舎都市っす。でも地方の商店街って、シャッター閉まったままになっているところって多いっすね。なんでだろ。やっぱり車が発達したから従来型の商店はダメなのかな。さて、辺りも暗くなったし、場所も良く分からなくなってしまったっす。なにしろ街角の住所表示がない。こういうときはやはりi-modeのmapfun…全く役に立つっす。で、少し遠くから細い煙突発見!

で、近づこうとするのだが、なかなか道が存在しない。この辺りかな…と思って入ると、どうやら小さい神社のようだ。おかしいなあ、が、とりあえずいい感じの神社なんで、近くまで行ってみる。と、やにわに横から「こんばんわ」の声。なんと超小さい神社なのに、入り口の物置くらいの小さな部屋で、お札を売っている。こりゃたまげた。とりあえず立派な唐破風屋根、賽銭を入れて拝むことにする。「二十三夜尊」とある。「尊」?尊って何だろう。あ”〜、あっしは寺社仏閣にはまるで疎いのだ…でもやっぱり銭湯回るなら勉強せんといかんのかなあ。


(二十三夜尊?)

(分かりにくいが唐破風)

で、横を見ると、なんと煙突。あ、神社の社務所っつーか、神社の人の住んでる家かと思ったら銭湯だ。でもこれって、境内だよなあ…石灯篭の中だし。うむ〜、神社の中の銭湯?謎だ。

正面に回ると、こちらは千鳥破風。全体的に民家風の建物だけど、入り口は重厚な銭湯。しっかり暖簾もかかっている。営業時間は4時から9時なり。で、入り口が小さいながらも東京銭湯風。両側に男女の下足入れ、「ハ」の字型に目隠しになっているっす。下足の鍵は松竹錠だがほとんど使われてないっす。

中に入ると番台には気軽そうな爺さんが一人、で客が3人ほど話をしているが…うっ。この客の面々は…いかにも「地場系」の親父ばかり。むろん言葉はモロ茨城弁。あっしは一目でヨソものだなあ。ここはとりあえずしおらしくして いよう。番台で500円玉を出すと釣りが150円。ん?350円?日立の銭湯は300円だったが…料金表を見ると、立派に茨城の公式料金表で350円と書いてあるっす。なお、UPDATEは平成10年。っつーことは、県としては改定されて既に350円なのに、日立は300円で継続してやってたっつーことか。

さて、脱衣場を見渡す。小ぶりながら基本的に東京風、天井も格子模様が入っているっす。KEIHOKUのアナログ体重計、そして…あ〜、そうかと思ったが、やっぱりロッカーがなく、棚に常連桶が積まれているっす。あとはもちろん丸籠が積まれている。

丸籠を一つとって、ひっくり返して床で「トン」とやりながら、財布預けようかどうか考える。完全地場系なだけにやりにくいな、みんな近所だから、預けるようなカネ持ってきてるヤツも少ないだろう。浴室とのドアが完全にガラスになっているので、そのまま籠においておくことにするっす。

服脱ぎながら脱衣場のチェック。大入りの額があるっす。「仲の湯さん江」か。男女の境も大入りの額、こっちは歌舞伎役者の絵が入っている。音羽屋か?番台の上にはたくさんの招き猫。

さて浴室だ。この浴室が…結構感銘深い浴室。地方銭湯ながら、基本は東京銭湯形。天井は高い2段型、なんと天井は塗られておらず、そのまま生の木目が露出した木材が使われているっす。傷まないのかなあ?さらに照明は丸型の白熱ランプが使われててオシャレかも。どうやら女湯側は点灯 していない…誰も入ってないんだろうなあ。

男女の境が…これまた低いっす。背の高いオトコなら向こう見えるかも。そういや、よく男女の境を15センチくらい継ぎ足した銭湯みるけど、ないとこんなもんか。で、なんと!章仙師の九谷焼タイル絵が2枚。一枚は…欧風?の山に湖畔、欧風の民家、湖には白鳥。章仙師のタイル絵で洋風のものは珍しい。だれか他に知っているっすか?もう一枚は花さか爺さん、こりゃ昔話シリーズっすね、桜のピンクがいい感じ。

で、最奥部はペンキ絵なんだが…これがまたなんなんだ?一応富士山らしいが、下手くそなペンキ絵。素人が書いたに違いない。麓の木といい、鳥居らしきものといい…しかも剥がれかけているっす。で、この剥がれた部分の下から 「XX理髪店」っつー、これまたペンキで書かれた広告が。しかも、なんと女湯も富士山が見える。ツインピークス?

さて観察も済んだし、浴場活動を開始しよう。睦和らしき白桶を持って…あ、椅子が一つもない。どうしようかなあ、桶を椅子にするか?完全地場系銭湯で、ちょっとやりにくい。まあいいや、座ってしまえ、と床に直にあぐらをかくことにする。

カランは温泉マークの赤青丸型、もちろんシャワーなんつー気の効いたものは存在しないっす。カランは両側に4と5、総計九個。湯はかなり熱いが、出は良いっす。で、ここで脱衣場側にヘンな光景発見。あ?男子脱衣場センターにでーんとオバちゃんが座ってドリンクを飲んでいる。うむ〜、やっぱり銭湯の人かなあ、もしかして客のような気もするが…なにゆえに男湯側に?見てると、そのまま脇のドアに消えていったっす…

さらに身体を洗っていると…こんどは釜場のドアからいきなりハダカの親父が入ってくる。あ?これも釜場の人?いきなり身体を洗い出す…何もかも面食らうぞ。

まあ、とにかくも風呂入ろう。この浴槽がまた長いUの字型の浴槽、手前と向こうで2槽になっている。おそらく温度が違うんだろうなあ、多分手前がぬるめだろう、と思って入ると…これまた熱い…45度あるかな。で、地方にありがちな、薄いカルピスのような薬湯。ま、慣れると気色よいもんだ。浴槽のタイルは細かいっす。しかし珍しい浴槽の形だよなあ。

見てると地場の親父たちも、手前の浴槽には入るが、奥の方には入らない。よし、ここは挨拶がわりに…と奥の浴槽へ。足を入れると…こりゃ熱い、46度あるかもなー。ま、いっか、とずっぷり入る。薬湯なんで多少ソフトっす。

上がりは…あまり時間がないので、ドリンク飲んでまったりする時間はないのだが、一応何があるかだけはチェック。結構種類豊富、数もまずまず。っつーことは常連利用者がそこそこ人数居るっつーことだな。缶ビールが置いてあるのはいいが…あ、ワンカップ?なんと銭湯にワンカップが冷やしてあるっす。これまた珍しいけど、湯上がりに一合っつーのもまあうまそうっちゃあうまそうだなあ。

っつーわけで完全地場系銭湯なんだけど、東京銭湯風のつくり、熱い湯、ペンキ絵やタイル絵っつー、なんか印象深いいい銭湯っす。上がりは…飲みのためにわざわざ水戸まで向かう。駅前のなにげない「てんまさ」っつー居酒屋で、あんこう鍋と納豆、その他魚類で一杯。水戸って実は大洗が近くにあるから、海鮮物が豊富なんすよねえ。で、この店が予想外に良かったっす。料理うまかったし値段もリーズナブル、サービスも良し。その後は大工町方面に向かい、ブルースバーで一杯。客があっし一人しかいなかったんで、店のママとずっと話してたが、店やって25年っつーこと。25年…飲み屋25年やるっつーとハンパでないぞ。この手の店としては、日本最古級でないかい?下北沢でさえ25年やってる音楽系バーは2,3軒だなあ。っつーわけで今日も満足の風呂上がりっす。

(2001年11月)