人参湯

2003年9月30日をもって廃業しました


(国道沿い)

aqua.gif (191 バイト) 場所 京急線 子安駅 徒歩2分

子安の人参湯が9月一杯で廃業になる、っつーことで急行。子安駅からすぐ正面の国道15号に面したところにあるっす。徒歩2分。しかし横浜でも子安っつーところは何もないねえ…昔は小さな漁師町だったんだろうなあ。横浜も広い、日本2位の都市とはいえ、全国的な「横浜イメージ」のあるエリアって、人口100万にも満たない部分なんではないだろか?

ついでだからっつーことで駅の海岸側をチェック。すぐ近くに角の湯っつー銭湯があったようだが…当該番地は良くわかんが、駐車場に新築のマンションが建っている。さらに近くに井川湯、この辺り実は銭湯密集してたんすねー。自動車の入れないような狭い路地の奥に煙突、ここも小さな地場的銭湯っす。横浜っつーのは実は、なんか田舎だよなあ。入口にタイル絵、さらに隣の民家に井戸


(井川湯)

(脇にこんな井戸が)
 

さて人参湯に戻るっす。煙突は発射台型、やや太いような気もするが、神奈川で良くみかけるタイプのものっす。裏に回るとゴミゴミした釜場。建物は昭和中期的建物?花王の銭型暖簾っす。ところで意外に「人参湯」っつー屋号は多いけど、これってやっぱり効能型?昔は人参入れた薬湯とかあったんだろうか?入口には9月一杯で廃業っつー廃業宣告書が張ってあるっす。下足板の鍵は松竹。


(廃業宣告書)

中に入ると番台、親父に400円払う。脱衣場の天井は地方的に低め。ロッカーの鍵は松竹の板鍵。ロッカーの上には、廃業間近だがかなりの数の常連桶が乗っかってるっす。その中に紛れてTV。長いす。KEIHOKUのアナログ体重計。報知新聞には「原監督退任」のニュース、おいおい、お家騒動は阪神のお家芸だったのに、逆転か?巨人のプリンスが…ちょっと信じがたいよなあ。

さて浴室へ。これまた中規模の銭湯、天井は高い東京型の2段だけど、釜場側の奥が少し奥まってる形になっており、しかも珍しいことに男女非対称で、女湯の方が広いっす。桶はケロリン、椅子は緑椅子にグレー椅子。島カランは1列でシャワーも鏡もないタイプ。シャワーのある窓側に陣取るっす。で、この銭湯、なぜか知らんが浴室と脱衣場のドアを開けっぱなしにしてるっす。なんか風通しが良い。ま、この季節だからな…

カランは赤青のボール型レバー、シャワーともども湯量、湯温OKっす。っつーか使っているうちになんかカランの湯がぬるくなってきたぞ…しかし、浴室内、タイルも昭和中期頃のそのままの感じ、補修も結構してあるけど、全面改装はしなかったんだな。余分なものもなく、昭和中期に実用最優先で量産された、トヨタカローラのような銭湯っす。需要に応じて登場して、使い古され、需要が無くなると見捨てられる運命か…

ビジュアルは最奥部にペンキ絵、男湯富士山で手前が湖にヨット、中島師の典型的な構図だが、結構痛んでいるっす。女湯は良く確認できないけど、山…穂高かな?あとは男女の境に半島と海、灯台の既製品のモザイクタイル絵っす。

さて風呂だ。これも典型型の深浅2槽式、熱そうだな、と思ったらそうでもなくて、温度は42度強っつーところっす。浅風呂に2穴のジェットが2機、深風呂は何もなし。とにかくこの銭湯、出来てから大規模改装っつーのは一回も無かったに違いないっす。なんて風呂に入っていると、2,3人いた客も居なくなり…っつーかここの客、入ってから出るまでかなり早いっす。とうとうあっし一人に。まもなく廃業っつーのに寂しいもんだよな。

上がりは脱衣場で風見商会のビン入りラムネ100円也。その他、ビン牛乳他種類は少ないけどいくつかのソフトドリンク類。あっしが上がると客が誰も居なくなってしまったが…なんと番台の親父が、モップを一つのカランに挟んで湯を出しっぱなしに。そうか、ここの銭湯、もしかして誰も使ってないと湯温が徐々に下がるような仕組みなのかなあ。だからさっき、途中からカランの湯がぬるかったのか?

っつーことで、日本の高度成長期を支え、高度成長の終焉とともに去って行く昭和銭湯、老兵は死なず、ただ去り行くのみ、っつー感じっすねえ。

(2003年9月)