末広湯


(ビルの中に立つ庶民のオアシス)

aqua.gif (191 バイト) 場所 京急黄金町駅 徒歩

パシフィコ横浜に用事があったので横浜へ。みなとみらいエリアも、以前は仕事で良く来たものだが、5年ぶりくらいか?なんて思ってたら…ありゃ〜、 全然豹変、ビルがやたら増えてるなあ。以前は桜木町からパシフィコ横浜まで寒風にあたりながら歩いたもんだったが…

さて、用も足したので銭湯行くか。っつーことで黄金町の末広湯へ。黄金町の駅から南へ、大岡川を渡って3分ほど。駅前のビルの多いエリアだが、区画の角にしっかり立っているっす。隣は既に駐車場になっており、取り残されたように木造建築。これだけ全景が分かる先頭も珍しいっす。煙突は神奈川タイプの鉄の煙突だけど、大きな木がそばに立っているっす。


(大岡川光景)

正面に回ると、これまた立派な千鳥破風。しかしながら庶民臭さの香る銭湯っす。牛乳石鹸暖簾をくぐると正面にフクスケのタイル絵。「男湯」「おんな湯」とペンキ?で書いてあるんだけど、これがなかなかの字。フクスケの上に半紙に「末広湯」と書いてあるが、これがまたなかなかの書体。習字銭湯?下足入れの鍵はおしどり、下足入れはフランス三色っつーか赤白青に分けられた下足いれ、今は亡き鎌倉館をほうふつさせるっす。


(なんかこう、ユニークな光景)

中に入ると当然のように番台、神奈川料金400円を払う。ここのお姉様は挨拶もしっかり、愛想十分。脱衣場天井は結構ボロが来てるけど立派な格天井、端がカーブ処理されているっす。ロッカーの鍵はTOKYOとあるヤツと取りつけたようなシリンダ錠。さらに丸籠もつまれているっす。古い銭湯だが、なんか客がかなり入ってるなー。新旧のマッサージ機が各1機、テーブルに木の長いすが2台。さらに…浴室入り口の上部に、男女ともに「」の額が…四字の漢字だが、なんて書いてあるんかなー。読めないなあ。男女の境は結構低く、ロッカー上には常連桶の数々。ぶら下がり健康器ほか、健康マシンも。このごちゃごちゃいろいろあるところがイカにも昭和の銭湯っぽいっす。

浴室へ。天井高い東京型2段、島カランは1列っす。桶はケロリン黄色、緑椅子。カランは赤青の5角のレバートップ、シャワーともども湯量、湯温ばっちりっす。出入り口近くに固定の冷温立ちシャワーブースが一つ。

で、目に入るのは…この銭湯のビジュアルの数々。古い銭湯ながら、タイル絵の充実した銭湯っす。まず最奥部の壁に湖畔と風車の大きなモザイクタイル絵。サイド窓際、窓の下に熱帯魚のモザイクタイル絵、この場所に絵があるのは珍しいっす。補修してあるが、絵は残っているっす。さらに…男女の境に4枚のタイルに書かれたタイル絵

残念ながら、カラン回りの改修でタイル絵の一部は損なわれているが…一つ一つの絵に注釈が書かれているっす。脱衣場側から、日本ライン下り、七里が浜&富士山、熱海、そして…邪馬渓?Java系?これってどこ?っつーことで4枚の風景画タイルが揃い踏み。一枚には章仙師のサインが確認できるんで、多分全部鈴栄堂だろう。そして、なんと浴室の柱の一部に、明らかに最近書かれたと思われる、ポップアート調の原色ペンキ模様。良く見ると、23-Jan-00 ROCCOとあるっす。こりゃ書いたのは女性だろうなあ、なんと なく。

さて、肝心の浴槽へ。基本的に2槽式だが、深風呂の方は黒湯天然温泉なのよ!この銭湯は。温度は44度くらいで、かなり熱め。今日はなにしろ寒かったからなあ…ゆっくり、少しずつ入ってみると、おお!こりゃホンモノの黒湯だ!ホンモノっつーか、要するに黒湯力が強いっす。近くの鎌倉館もそうだったが…すべすべ、ぬるぬるの真っ黒の湯。最初は熱いが、慣れると実に良い湯の感触っす。真ん中の底に思いっきり泡噴出があり、完全にお湯をかきまわしまくりだが、それでもあんまり熱い感じがしないっす。暖まる。黒湯は、上がってからだけじゃなくって、入っている、まさにその時から身体の芯まで温まる気がするっす。なんでだろうなあ。それにしても、寒い日は熱い湯に入りたくなるのは何故?

浅風呂サイドは白湯、こちらは温度は43度くらいっす。2穴のジェットが二つ。なにしろ今日は黒湯が気色良いので、入っては外でタイル絵を近くまで寄って眺め、またじっくり入る。

上がりは森永マミー50円。他にビン牛乳、コーヒー他、ソフトドリンクはそこそこの揃えっす。壁には温泉分析書も張ってあるっす。っつー訳でかなりマニア受けしそうな銭湯、黄金町の黒湯はいいなあ。帰りは東急の特急で東京帰還、あれ?早口言葉みたいだな…


(阪東橋近くにある商店街のオブジェ)

(2002年12月)