当り湯


(立派な破風造りなんだけどこれが精一杯)

aqua.gif (191 バイト) 場所 京急横須賀中央駅から徒歩20分

天気が良かったので、遠出して横須賀の当り湯まで行ってきたっす。横須賀米軍施設周辺はさすがに警戒厳重、パトカーが止まってるっす。横須賀中央を抜けて、衣笠方面へ。運動公園の手前にあるっす。横須賀中央からも衣笠からも、歩けば20分はあるかな。この辺りもヘンなエリアっつーか、横丁に入ると妙な感じの店があるっす。

横須賀エリア、古い建物も結構あるっす。この街はどういう由来があるんだろ。明治以降は軍港として栄えたんだろうけど、江戸時代は単なる漁師街?それにしても山の方まで商店街が連なるが、どう発展してきたんだろうか。

さて当り湯。サイズはさほど大きくはないが、堂々とした銭湯。破風造り、外から見える脱衣場の窓の模様がこれまたレトロな窓。入り口は2重というか両側に斜めに男女入り口があるタイプ。玄関に「ラジウムイオン温泉」っつー看板がかかっているっす。う〜ん、いい味。


(この窓の形がまたレトロ)

中に入ると土間があるが、意外なことに少ないながらちゃんとした下足入れもあるっす。縦3列だが、SAKURA-G。新型っす。さらにびっくりしたことに、その下足入れの上にヨーロッパの宗教画?の…ジグゾーバズル…番台で400円払うっす。番台は広めで、向こうが見えそうだが、女湯側はしっかりカーテンでガード。

天井高い格子の天井。古いけど、現役臭が強い、まだまだやるぞ、っつー雰囲気の銭湯。男女の境は…透かし彫り?いや、違う。木の形のままスライスした感じ。丸籠が積まれてて、これはカゴのみかな?と覚悟したが、なんと!SAKURAVのロッカーが5個だけあるっす。これは有難い。貴重品のみロッカーに入れて、あとは脱衣籠を使う。


(男女の境の木材)

(5個だけのロッカー)

壁には何気に民芸品のようなものがいろいろとあるっす。馬の墨絵?とか。さらに浴室との間に沢山のサインと手形。こりゃ相撲取りか。ふと、写真がかかっているのが目に付くが…ありゃ?貴の花?その後ろに大相撲ご一行と文字があるっす。なんと!大相撲公式銭湯?横須賀に巡業なんてあったけか?それにしても、ニッポンの横綱が来る銭湯、こりゃすごいかも。


(貴乃花の手形も)

体重計は寺岡式の、これまたメーターがやたら大きいもの。さらにトレーニング機器?新型のマッサージ機?なんかこのレトロな銭湯に似つかわしくないのだが、バリバリ現役な銭湯なのだろう。さらに、大きな水槽が二つも置いてあるっす。

さて浴室へ。桶は黄色の無地。島カランは1列、カランはセンターから5334のミニ銭湯っす。島カランにはシャワーが無いのでセンターへ。古い銭湯だが、カラン回りは改装してあり、十分に使いやすい上に清潔。カランは5角のピンクと水色のプラスチック、湯量、湯温良し。シャワーは配管が剥き出しになっているんだが、これが湯量が多くてよろしいっす。

天井は高い2段型だが、湯気抜き部分が少し低い。浴室と脱衣場の間、浴室から釜場への戸はいずれもサッシになっているっす。基本的にレトロ系の銭湯なんだが、良く使われる部分はしっかり改装されているっす。

さて浴槽へ…その前に壁画。奥の壁に立派なペンキ絵、男湯はあずま屋で庭に鳥がいる光景だが、女湯は富士山。しかしこの画風は…東京のペンキ絵師ではないな。神奈川の南部でたまに見られるタイプのようだが…誰だろう。横浜にペンキ絵師がいるという話を聞いた事があるが…

浴槽は東京と同じように最奥に2槽、深風呂と浅風呂。この境の部分の壁が岩になっており、さらに造花がいくつか付いているっす。浴槽のタイルは古いもので目が細かく、一部ゆるやかにカーブ。蛇口の部分は山型になっているんだが、これは古い銭湯でたまに見かけるっす。

さあ、浅風呂から。熱いかな?と思ったら、それほどでもなく42度くらい。じっくり入れる温度っす。端にラドン発生器がついていて、能ガキが書かれているっす。真ん中はバイブラ、水色のランプが中についているっす。で、少し脇に一穴のジェットが一つあるんだが、湯の吸い込み?の突起があり、うまく身体に当てることが出来ないっす。が、いずれにしてもいい湯。

冷水を浴びて、今度は深風呂へ。おや、熱い。浅風呂とつながっているのだが、こっちは44度くらいありそうっす。へー、こんなに温度が違うんだ。これはこれで気色が良いっす。で、こっちにも一穴のジェットがあるのを見つけて、背中を当てようとすると…「あちちち」なんと、気泡噴出穴の隣に、熱いお湯の噴き出し口があって、ここから熱い湯が噴出中。これじゃ、なんのためにジェットがあるんだ〜?

さらに冷水を浴びて、もう一度、慎重にさっきの噴き出し口に近づくと…あれ?今度は出ていない。どうやら熱い湯はたまに出てくるんだな。で、安心してジェットにあたる。熱めの浴槽だが、すでに秋風が吹くこの頃は気色がいいっす。なかなかいい風呂なので、何度も入ってすっかり汗かき状態。

さてお風呂ドリンク。脱衣場の木の長いすに座りながら物色。ビン牛乳、ビールその他あるが、特にレアなのはないか。ビン入りのHI-Cがややマイナーな存在だが…結局ビン入りのジンジャーエール。で、ここでタダ飲むのは芸がない。この銭湯、なんと立派な池付きの庭と縁側があるのだ。しかも縁側に折りたたみ椅子が置いてある。これは「座ってくれ」と語っているようなものだろう。

縁側の椅子に座りながらビン飲料、池にはむろん鯉。秋風が湯上がりの肌に涼しいっす。う〜ん、遠くの温泉もいいが近くの銭湯もいい…っつーか遠くの銭湯だよなあ、これって。石灯篭なんかも置いてある庭。ふと横を見るとビン入りラムネの空ビンケース。ありゃ〜、今日は連休最終日だから、仕入れがなかったのか、もしかして。

っつーわけでかなり味のある銭湯、レトロではあるがボロ銭ではないっす。しかし大相撲は謎だ。いったいこの周辺、どういう街なんだろう。

(2001年9月)