稲荷湯

2002年12月22日をもって廃業しました


(小型銭湯)

aqua.gif (191 バイト) 場所 京浜急行逸見駅下車 徒歩4分

横須賀逸見の稲荷湯が22日で廃業と聞き、逸見へ。それにしても横須賀は遠い…京急特快は相当早いはずなんだが、金沢文庫で乗り換えてさらに各停で逸見へ。それにしても逸見駅もなんっつーか、まあ田舎駅っすねえ。 山が迫る横須賀独自の地形。

駅を降りて少し歩くが、イカにも自動車と縁がなさそうな発展をしてきた街の地形。この辺りは「通過路」にはなりえそうもないし…さらに尾根が各集落を分断したような地形っす。

さて、駅前の路を山側に4分ほど歩くと、難なく煙突発見。地方銭湯らしい、細くて小さな煙突。建物の横に大きく「いなり湯」の看板。煙突からかすかに煙が…う〜ん、なんか廃業する銭湯、っつーオーラがあまりないんだが…横に玄関がついているけど、暖簾はなし、いきなり下足入れが見えるっす。


(通りに面した側面からの様子)

下足板の鍵は松竹錠、何と見かけによらず完全フロント形式の銭湯。しかもフロントには子供が座っている!?と、横から女将さんが出てくるので、400円払って中へ。

基本的に小型銭湯、脱衣場の天井も低く、狭いっす。ロッカーの鍵は松竹のシリンダ錠、かなり綺麗にしてあって、なんか廃業する銭湯っつー雰囲気もないっす。が、壁には22日をもって閉店、と書いてあるっす。家庭用ヘルスメーター、椅子が二つほど。

さて浴室へ。この浴室に入る戸も、アルミサッシのしっかりしたもので、まだまだイケそうなんだが…天井は関東型の2段の天井、が、真ん中の湯気抜き部分はかなり狭いっす。桶はケロリンの黄色、普及型の椅子。小型銭湯なんで、島カランはなく、センター側に8機、窓際に3機。後はなんと!?温度調整付きのハンドシャワーの立ちシャワーブース。結構カラン回りも新しく、6角の茶色、カラン、シャワーともども湯量、湯温OKっす。っつー訳で、とても近日廃業する銭湯には思えない…改装してからそんなに経ってない感じっす。カランの湯がやや赤色がかっているのは配管がイってるせいか?もしかして外回りでなくて内側が廃業の原因?なんていろいろ考えてみる。

さて浴槽へ。残念ながら壁画はなし、もしかしてかつてはペンキ絵が書かれてあったのかなあ。浴槽は2槽式、どうやら片方が薬湯槽にしてある模様っす。で、今日はなんと言っても22日、ゆず湯の日。薬湯ではなく、しっかり生のゆずがメッシュに入って浮かんでいるっす。結構客で賑わっている…風呂入るスペースもなかなか無いくらいっす。といっても5,6人入れば一杯になりそうな浴槽ではあるが。

まず、通常薬湯やってそうな槽へ。入ると…おや?逸見っつー立地からいって結構熱い湯を予想してたんだが、かなりぬるいっす。温度は42度弱くらい?片方は少々泡、もう一方はデンキ風呂。デンキは弱めなんで、背中と足裏をべったり電極につけるっす。さらに主浴槽サイドへ、片方にミクロバイブラ…おや、こちらもぬるい。42度弱っつーところ。ところで、案の定みんなゆずを揉み出すっすねえ。男湯もこうだから、多分女湯もそうに違いないっす。これやるとフィルター詰まってアレらしいのだが…

一緒に入ってた親父が「ぬるいよ、ぬるい」あっしも「そうだよねえ、ちょっとぬるいねえ」「最終日くらい熱くすれば良いのにさ」と言ったあと、ぽつんと「女の考えだな…」何気なく、ふんふんと聞いていたが、ふと「何かヘンだなあ」と。普通お湯作るのは親父の方ではないのかなあ…まあ、女将の方は「最後の日はゆっくり入ってほしい」とぬるめの湯にしたんだろうなあ。

で、確かにぬるめの湯なんで、あっしもゆっくりと浸かってると、隣で親父同士の会話が。「いや、町内に張り紙があってもさ、名前じゃ分かんないんだよね、あそこの風呂屋の親父とか書いてないと。死んだの知らなかったよ。」はっ、なるほど、ここの親父さん、まだ銭湯を続けるつもりだったのに死んでしまったんだ…なるほど…

フロントにはビン牛乳ほかいくつかのドリンク。次々と客が入ってきて、さらに出ていく。「今までお世話になりました…」と例の会話、みんな表情は必ずにこやかに。これが最終日。うむ〜、しかし建物自体は、まだまだ続けられそうな銭湯なんだが…ふと出口のカレンダーを見ると、12月の予定はちゃんと年末まで定休日が書いてあるのに、その上に太くマジックで「閉店」と書かれているっす。急に決まったんだろうなあ…


(「定休日」のところに、横線が入ったカレンダー)

で、風呂を出たらオマケの銭湯ML小忘年会。駅の近くで見つけた七福神っつー居酒屋で熱燗で一杯。ここも店構えの割にはメニューがなかなか凝ってて、面白いものが置いてあったなあ。


(こっちは釜場サイド)

(2002年12月)