越の湯


(曲がった煙突…)

aqua.gif (191 バイト) 場所 東武東上線 坂戸駅 徒歩3分

坂戸の越の湯へ。この街もどういう街なんだか良くわからないなあ…埼玉の伝統産業っつーと、やっぱり農業なんかなー。っつーことは、農産物の集積地とかそういうので栄えたんかなー。基本的に街道沿いの街っつーことか。で、駅を降りて3分ほど…この辺りかなっつーところで煙突発見。


(坂戸駅前の商店街)

(消防署の火見櫓?
隣のマンションの方が高いじゃん)

(元映画館だったと思われる廃墟)

近づくと…外観はこりゃ来てるわー。なんかすんごいなあ、トタン張りの木造建築。煙突が脇にあるんだけど、この煙突が微妙に曲がっているっす。湯気抜きが見えるから間違い無く銭湯。暖簾がかかってるけど、まるで手作りのような質素な暖簾。下足入れは鍵無しで、パタンと上に開くもの。入り口の戸がまたなんとも昭和フレーバー、模様入りのガラス。こりゃいやが上にもボロ銭湯期待が…


(パタンと開く下足入れ)

(サイケ模様なガラス)

で、開けると、これが意外に綺麗なちゃんとした銭湯っす。番台が…これって番台だろうなあ、一応番台風なんだが向きが完全に逆側。坂戸の銭湯料金は380円っす。番台の上にはタバコも販売中っす。


(番台上部に神棚)

全体的に東京の伝統銭湯形と同じだが、かなりサイズが小さいっす。天井はさほど高くないが、一応格子になっているっす。ロッカーあるかなー、と心配したけど、一応松竹の鉄板鍵のロッカーが壁際に。もちろん丸籠もあって、こっちを使っている客の方が多いっす。寺岡のヘンな形の、上からメーターをのぞき込む形の体重計、これって福岡でも見たヤツだな。で、椅子とテーブルが…なんと小学校の教室にある、あの学習机と椅子。どこから取って来たんだ、こんなもの…さらに男女の境には鏡とドライヤーがあるが、電源は男側だが本体がコードを引っ張って向こうに行ってしまっているっす。なるほど、一台を男女で共用してんのかな、と思ったが、考えてみたらコイン入れるのはこっち側だから、どうやって使うのだ!?まあ全体的に綺麗な脱衣場っす。

さて、浴室へ。基本的に天井高い東京2段型。洗い場は改装されてて、意外に近代的っす。桶はケロリン黄色、椅子は普及品っす。なぜか一個だけ、木の椅子が置いてあるっす。島カランは1列だが、片型のみカランでシャワーはないっす。シャワー付きは男女の境のカランのみ。センターから656の17個。小さい銭湯なのに、かなり無理してカランを増やしてるっつー感じ。お陰でカラン間隔がかなり狭いっす。

カランは丸ボール型や5角の赤青が混在しているっす。カラン、シャワーの湯量、湯温はOK、温度はちょっとだけぬるいかも。洗い場は近代的なんだが、一目視線を上にやると…天井はやっぱり相当年季が入ってるなあ。天窓のガラス戸は枠にぴったりハマってないで、常時隙間状態。さらに一部ガラスが割れたまんまになっているっす。小さい銭湯だが、意外に客が4,5人入っているっす。

浴槽へ…その前に壁画。なんこの銭湯、ちゃんと壁画があるのだが…富士山?が、いったいいつのものだろうか…ペンキがボロボロ状態になっており、ほとんど剥げかかり。なんとか富士山と分かるが、この絵師も誰だろうなあ、あまり写実的じゃなくて、可愛い富士山。神奈川で良く見るタイプみたいっす。女湯にもペンキ絵スペースがあるのだが、こっちは既に消されてて綺麗にまっさらになっているっす。

浴槽は1槽式、両端で泡になっていて、湯内緑ランプが一つ。入ると…これが意外に熱いっす。45度近くあるかもなー、温度計は48度を指しているが。が、まあ入ると気色良いものっす。熱めの湯なんで、上がって冷ましてからまたご入浴、常連らしい爺さんが「熱いなあ」なんていいながら水を埋めてるのだが、あっしが平気でずぶずぶ入っているのを見て、申し訳なさそうに水をとめる…まあ別にいいのに。しかしこうなってくると、逆の意味で常連にとって迷惑な存在になってしまうよなー。

上がりは脱衣場で…ビンラムネ。白牛乳とかコーヒーとかソフトラックとか、そこそこドリンクはあるっす。ラムネは小岩の藤井ラムネっつーヤツで120円。で、これを買うとラムネ開けを番台で貸してくれるっす。番台でそのままラムネを開ける…泡がほとんど立たなかったのを見て、番台の、おそらく70を軽く越えてると思われるお姐さんがびっくり顔で「あら、上手ねえ」と驚く。やたー。番台の婆さんにラムネの開け方を誉められるっつーのは、銭湯マニアとしてはちょっとした殊勲賞ではないだろか?思わず「ひひひ」と笑いがこぼれるっす。味の方は、タワーラムネよりちょっと香料強く炭酸弱いっつー感じ。

っつーわけで家庭的な、郊外の小さな伝統銭湯。「ラムネの思い出」を胸に抱き、一人ホクソ笑みながら池袋方向へ帰るのであったっす。


(入り口両側に小屋根が二つ)

(2002年3月)