瓢箪山温泉


(お化け屋敷ではないよ…勿体無いので原寸表示)

aqua.gif (191 バイト) 場所 名鉄瀬戸線 瓢箪山駅 徒歩2分

マニアなら絶対行くべきだな。この銭湯。

名古屋だとどうしてもスーパー銭湯系になって、なかなかレトロ銭湯に行く機会がない。しかしスーパー銭湯に押されてどんどん廃業していると思われる普通の銭湯、いっておくべきだよなあ。っつーわけでレトロ銭湯のウワサの高い瓢箪山温泉へ。名鉄瀬戸線沿線には古い銭湯が多いらしいっす。それにしても瓢箪山温泉、いかにもレトロっぽい名前じゃん。「瓢箪」だって。けけけ。

栄町から瀬戸線で瓢箪山駅まで…ってこの電車すげーよなあ。出札がない…よく見ると、運転手が切符受け取ってるぞ。あっしも渡そうとしたが、その前に発車しちまった…なんなんだこの電車。しかもホーム極狭だし。


(名鉄瀬戸線 瓢箪山駅)

駅から南に徒歩2分。こんもりした木立が見えてくる…お”〜、凄いぞこの銭湯。破風…なのかなあ?千鳥の小屋根一応付いている。コインランドリーも併設、で看板が…これ凄いなあ。「瓢箪山温泉」と手書きの看板。近づけば近づくほどにレトロ。なお営業時間は16時〜23時っつーこと。この入り口がまた凄い。

で、到着したのが22時ごろ。中に入ろうとすると、土間で他の客とばったり、こっちを不思議そうに見ている。しばらく無言で向かい合うが…あ、この人、銭湯の人?「あ、いいですか」「はいはい、どうぞ」鍵を持ちながら番台に座ろうとする…もしかして店閉めようとしてた??

土間に靴を置き、番台で380円。こんな銭湯でも380円、スーパー銭湯とさほど変わらない。まあ廃れるわけだよなあ。で、この脱衣場もまた凄い…凄い!凄い!まず番台。これは昔ながらの低い番台。で、正面にタバコがで〜んと並んでいる。あちこちに「タバコあります」の張り紙が。喫煙推奨銭湯?こんなところでもドリンクとアイス類は売っている。下足入れは古い木のもの。


(平成13年時点での写真っす、昭和35年でわない)

そしてロッカー。おお、ロッカー。表に大きく番号の書かれた古い木のロッカーだが、結構現役臭い。鍵は…「HIKARI-JO」?これまたはじめてみるっす。ところで銭湯の鍵はたいがい「PATENT」と大書きされたものが多い。昔は商標の取りあいとか、結構激しい争いがあったのだろうか?

で、広告。男女の境に天井までいっぱいの広告類。すげー。しかもレトロな広告。いつごろのかなあ。昔の栄華を物語るっす。長いす、旧式のフジマッサージ機、天井からは大きな扇風機、一つ一つのアイテムが重い…というか、この銭湯これだけで「昭和博物館」になりそうだよ。


(これまた博物館ではなく、現役銭湯)

で、脱衣場内に「サウナ箱」がある。何これ?サウナ?お仕置き箱?どう見ても高さ1メートル強の箱、「監禁箱」にしか見えないっす。どうやらコインを入れると暖まるらしい…って連続使用しなきゃ、こんなの暖まるわけないよなあ。とにかく怖い箱。脇にコイン入れがあるのを見ると、もしかして現役?

脱衣場と浴室の間、こりゃなんだ?一角が岩のスペースになっている。浴槽の背後は岩になったものがあるけど、なにゆえに脱衣場なんだ?こんなの見たことないっす。で、入り口は名古屋風に流しがあるが、このタイルがまた古く、たいへん細かいもの。カーブが使われているのは昔風。


(岩や草木、丸籠、「タバコあります」の表示も凄いが…なんといってもこの身長計を見よ!)

さあ浴室へ行くか…ってこの木の戸がこれまた思いっきり開けると壊れそうな木。おまけにガラスにビニールテープで「←」と張ってある。どうやら、この方向に開けるべし、っつーことらしい。

浴室。そんなに広い訳ではないが…センターにど〜んと浴槽。奥に副浴槽。両サイドにカラン。天井は四角錐型で真ん中に湯気抜き、カビが相当来てる。で、名古屋では珍しいことに、最奥部にタイル絵。既製品と思われるけど、湖のタイル。東京じゃよく見るが、名古屋では珍しい。まあしかし木造建築。釜場へのドアも高さ1メートルくらいしかない。さらに男女の境に木のドアで「スライ ド」の鍵になってる…これってもしかしたら押したら開くのかなあ。

カラン。これまた凄い。凄い。金属のカランだが…真鍮?トップに「水」「湯」という字が刻印されている。そしてこの銭湯、レトロながら全カランにシャワーがついている。しかもそのシャワーがこれまた大輪の見たことないようなもの。店の桶が2,3個散らばってるのでそれを持って座る。ちなみにこの銭湯、あっしが入ってから出るまで、他の客がいなかったっす。

カランを押すと、レバーの脇からじゃーっと湯もれが凄い。こういう時はタオルでレバー押さえるといいんだよなあ、が、湯がぬるいのでその必要もあまりない。しばらく出すとややあったまってくる。シャワー、これまた凄い。ハンドルが下についてて、それを回すと上からシャワー。ちなみに正面のガラスには広告が入ってて「風来坊 瓢箪山店」。有名な手羽先屋だが…あっちは客がいっぱい入ってるんだろうなあ。昔は逆だったのかもしれない。

こんな銭湯でも立ちシャワーあり。この立ちシャワーがまた、なんか戦争映画に出てきそうなハンドルのシャワー。よく見ると別サイド、さきほど岩があった裏手あたりに水槽らしきもの?どうやら、昔はここに水槽があって、浴室から見えるようになっていたようなのだが…使われなくなってしばらく経っているように見える。 しかしこの銭湯、多分出来たころは新鋭の設備型銭湯だったんじゃないかなあ。ものすごい賑わっていたに違いない。それが今やあっし以外客なし。昭和史を物語るような銭湯っす。


(他に客がいなかったんで、撮っちゃいました。だってあまりにも…貴重だ)

さあ、前置きが相当に長くなったがまず副浴槽へ。奥に2槽あって、片方が薬湯、「草津の湯」となっている。能書きが…あ”〜、ホーロー板。しかも下が半分腐食している。能書きがいろいろあるが、ロイマチスだの読み進むと…「婦人血の道」?なんだこりゃ。効能が「婦人血の道」ってどういうこっちゃ?

で、肝心の湯の方、ちょっと白濁。アサリ汁よりももうちょっと濃いような濁り具合。 しかしこれ、大丈夫かいな〜。ちゃんと交換してるのかなあ。とりあえず入る。湯温40度くらい。まあ能書きを信じればありがたい気もする。やっぱりこの手は気からだよなあ。能書きを信用できるかどうかで、風呂の幸せも一味違うっす。

で、その隣がデンキ風呂なんだが、電極がすっかり壊れてて機能していないっす。最後に主浴槽、そんなに大きな浴槽じゃないんだが、小判型。タイルがかなり細かく、浴槽のふちがゆるくカーブしている。あちこち補修だらけ。中に入ると… あ?熱い!44度以上、もしかして45度くらいある?名古屋で今まで入った中で一番熱い湯。この浴槽、昔はジェットが機能していたようだが、今は機能してない。まあこれはこれで悪くない。静かなセンター浴槽に使って、この超ボロい木造建築を見てると、妙な気分になるのは受けあいっす。

上がりはドリンク…このドリンクケースがまた凄い。裏から開ける冷蔵庫。覚えてるかな〜、むかしはみんなこのタイプだったっすよね。名古屋牛乳のビンのりんごジュース110円で一服。

どうやら早く閉めたかったようっす。あっしが浴室を出ると、少しして釜場から爺さんが這って出てきて掃除の支度。番台にも爺さんだったが、奥から出てきたのも爺さん。ん?もしかして親子?爺さんの親子?ヤバいよそれ。ふと、先日みた「こころの湯」を思い出したっす。あっしが出ると、脱衣場の扇風機を止めて電灯が暗くなるのが見える。なんかこのまま「すぅ〜っ」とご臨終してしまいそうな銭湯っす。

っつーわけで、日本でもトップクラスのボロ銭湯!名古屋人はぜひ行くべしだ!なお、この銭湯と一緒にぽかぽか温泉とか竜泉寺の湯とかのスーパー銭湯との併用をお勧めするっす。一般人と一緒に行くときは事前解説が必要、マニア以外だったらブっ飛ばされるかもしれんぞ…しかしいつまで続くんだろうか。

(2001年7月)